中国の全自動卓は、安い。2000元(3万円)程度。固定脚など安いものは1500元程度、中古屋で聞いたら880元と言われた。日本製はどれだけ安くても10万円台(人民元換算だと1万元以上)。

まあこの程度の金額なら買ってみるか、という事で買ってみた。

買ってみて分かったが、卓だけでは済まない。それ以外のモノも必要で、組立等の作業も必要と、PC自作と変わらんなあと思ったので、標記タイトルにしてみました。

 

1.材料

  • 場所(設置場所、保管場所、作業場所)
    卓はほぼ100cm四方、更に椅子を4脚を置くと、思った以上に広いスペースが要る。2.5m四方(4畳半程度)の空間が欲しい。また後述の「組立」では、同等のスペースに加えて、梱包物(段ボール箱・発泡スチロールなど)を仮置きするスペースも要る。
    普段は折り畳んで仕舞っておき、遊ぶ時にリビングの家具を除けて卓を引っ張り出す、というパターンが多いだろうが、折畳式の場合、それを保管するスペース(110×100×50程度)と、そこに至るまでの通路確保も必要。その通路は、カーペット等が無い硬い床が望ましい。
    アパート・家主と交渉して、要らない家具を返却しておこう。
  • 麻雀卓 1式
    路面店を少し見て回ったが、どれも昔ながらの小さな個人商店で、在庫もショールーム的要素も無く(デカイ機械を扱うくせに、駐車場も無い)、店で購入するのは難しい。
    ネットを見ると様々なブランドが有り、どれが良いのか分からない。あえて言うと、宣和(TRYHO)と雀友(TREYO)が今でも高級メーカーのようで、価格は3000元~。
    よって、ブランドで選ぶのでなく、「家電と言えば京东の自营店」の中から選んで購入した。申和の折叠式1800元で、自営以外より200元ほど高いが、配達も速く、故障対応などのサービスも信頼できる。アマゾン(日本)で、Amazon直販の方が、そうでないものよりサービスレベルが高い(速い、不良品は文句言わずにすぐ交換、など)、というのと似ている。
    どの店も、本体一式・麻雀牌2セット・電源コード・ホコリ除け布カバー・卓面掃除刷毛・チップ+配達がセットになっているのが普通。
    完成品ではなく、4-5箱くらいに分かれて配達されるので、組立が必要。自営店だと組立サービス料込が多い。自力での組立も可能。
    種類としては、固定式(4本足)・移動式(1本足)・折畳式(1本足)、过山车(牌が坂道を登ってくる)・通常のエレベータ式(牌が垂直に上がってくる)、外板がプラスチック・木製。さらにオプションとして、USB充電口・灰皿・足元暖房・イス・天板(食卓に早変わり)が付けられる(USBはほぼ標準)。特殊なものとしては、3段積み(一番上に最初の手牌を出してくれる)、1個出し(トンを積まず1個ずつ出す。携帯用)も有る。
    牌の大きさは42・44、数は136・144(花付)が多いが、自由に選択可能。大きさは後から変更不可だが、数はモード変更可能(3人回し等も可)。144を買っておくと後から自由が利きやすいと思うが、136を買ったとしても、後で牌だけ144のものに買い直す事も出来る。
  • 麻雀牌袋または箱 2個
    折畳式は、牌を取り出してから折畳む必要が有るので、仕舞う入れ物が必要。京東ではほとんど売ってないので、淘宝で買うことになる。布袋(20元)、プラ手提箱、アルミ手提鞄(60元)が主流。日本のような平たいプラケースは殆ど無いし、有ったとしても牌が巨大かつ重いので、使いづらいと思う。
    袋の場合、花牌用の小袋が有ると便利。ジップロックのようなもので良い。
    また、チップや点棒用の袋か箱が有ると便利。
  • 椅子 4脚
    背もたれ・キャスター付きが理想。食卓や作業デスクの椅子をかき集めれば良いが、足りなければアパート・家主と交渉したり、イケヤ等で購入しよう。麻雀専用室を作る、椅子も新たに買い直す、というなら椅子付きセット(五件套)もある。
  • 脇机 2-4個
    卓にスマホ入れ・カップホルダーが付いてるのが普通なので、必須ではない。でも有ると、ご飯・おやつ・水筒などを置くのに便利。
  • 電源延長コード
    セットに付いてくるのは2-3mしかなく、コンセントに届かない事が多い。また形状が国标(八の字型3点)。2-30元程度で売ってる延長タップを買っておこう。
  • 点棒
    チップだと「100点」が不足するので、日本式点棒が欲しい。淘宝で探すと見つかる。
    スマホ点数計算アプリでも良いが、プレー中に置く場所に困る、字が小さくて見づらい、電池が切れる(充電しながら卓上に置くのは邪魔)などの欠点がある。
    10・20・50・100が20枚ずつ有るなら、20と100を100点棒(つまり1)扱いとし、0/4/4/10で配る方法もある。但し27000持ち、35000持ちはできない。
  • 起家マーク
    中国で見かけない。卓上ディスプレイに表示できるみたいだが、操作が分からない。淘宝で入手可能。ライター・タバコなどで代替可能。
  • 点数記録票
    これも中国で見かけない。淘宝で入手可能。ボールペン・白紙でも十分代替可能。スマホアプリは、トビ・焼鳥が付けづらい。

(自分で組み立てる場合に必要な工具)

  • レンチ…14㎜程度。足の組立で必要。セットに付いてくる。小さなもので十分。
  • ドライバー…プラス。足と本体の結合、外板部品取付等で必要。力を掛ける事も多いので、細い・短いものは不可。セットに付いてくる。
  • かなてこ…本体は木組み(釘止め)包装で来るので、バラす道具が要る。無理やりバラすと、木が粉々に割れて棘は刺さるし掃除は大変だし。
  • カッター…段ボールを開ける時に必要。
  • プライヤー、ペンチ…足の取り付け金具(アングル)が若干歪んでいるので、矯正するのに必要。

(その他の道具)

  • 掃除機…梱包の木・発泡スチロールが安物なので、細かいゴミが猛烈に沢山発生する。
  • 通販セット一式(スマホ、京東への登録、など)…発注自体はPCでも良いが、配達作業員・組立作業員との連絡は電話+SMSになるので、スマホも必須。
    重量物なので、宅配便ではなくトラック便になる。組立作業員の検収は、SMSで飛んできたコードを作業員に伝える事で成立する。
  • 通訳…前述のとおり電話やり取りが発生するので、代わりに話してもらえる通訳がいた方が良い。
 

2.準備

  • 発注
    たとえ京東・自営であっても、客服とチャットして、在庫の有無、納期、牌の大小・数、組立サービス納期などを確認しよう。どの商品をどのように拍下すれば良いか教えてくれる。
  • 麻雀牌袋など備品購入
    特に麻雀牌袋は組立当日から必要なので、卓の納期を睨んで発注しておく。京東は翌日配達が多いので、備品を先に発注した方が良いかもしれない。
  • 場所確保、家具手配(返却、購入)
    段ボール4-5箱、そのうち1つは1.2m四方の巨大な箱なので、配達当日までに場所確保が要る。組立時に用意しておけば、では遅い。
  • アパート管理人へ荷物受取依頼
    巨大な荷物なので、輸送会社の人に部屋まで運びこんでもらう。しかも宅配便ではないので、日時の融通が利きにくい。アパートに話して、不在時は代わりに部屋を開けてもらおう。
  • 組立作業員(安装师傅)の予約
    上記発注・配達とは別手配が必要。卓が配達されたら(または納期が明確になったら)、客服に予約依頼しよう。おおよそ翌日に作業員から電話がかかって来るので、そこで具体的な日時を調整する。ネット上で空き日時を検索して予約…みたいな便利な機能は無い。
 

3.組立
自力でも可能。客服に頼むと動画リンクを送ってくれる。またネットを探しても見つかる。どのメーカーでも手順は同じ。なお添付の説明書は、写真も絵もなくサッパリ分からない。また部品(ネジ・ボルト)が幾つか余るが、それに関する説明も無い(のでドキドキする)。
手順はおおよそ以下の通り。素人がやると1時間ほど。プロは45分程度。

  • 脚部組立…キャスターをねじ込む(手)。足と足とをボルトでつなぐ(レンチ)。ボルトは2個余る。
  • 本体開梱…木組みをバラす。段ボール横向きにした上で、下から開き本体を取り出す。折畳式の場合、本体は横向きのままにしておく。作業員は一人でやるけれど、素人は二人でやった方が良い。其の他備品も取り出しておく。
  • 本体と脚部接続…折畳の軸を差し込み、軸箱?をねじ止め(ドライバー)。うまくハマらない場合、プライヤー等でアングルを曲げて調整。足を地面に下ろし、本体を持ち上げる(水平にする)。作業員は一人でやるけれど、素人は二人で持ち上げた方が良い。固定用ネジをねじ込む。
  • 外板取付…外板にUSB端子をねじ止め。外板を本体に取り付け(ねじ止め)。この際、仮止め→USB線を本体接続→カドを勘合→本締め。卓面を持ち上げ、裏に貼ってある档位表をスマホに撮っておく(後からでも可能だけど)。最後に本体と外板の隙間を埋める口の字型の部品(プラスチック)を組み立て、本体に叩き込む(手でバンバン叩く)。
    以上で組立は終了。
  • 電源接続・動作確認…コンセント接続。電源投入。牌を投入。洗牌・理牌動作確認。初期設定だとかは不要。

4.後片付け
組立作業員は、掃除はまったくやりません。余った部品も何もかもそのまま置いて帰ります。

  • 付属品・説明書の確保。
    工具は一般的なものなので、捨ててもそんなに困らない。
  • 梱包材(段ボール、発泡スチロール、木組み)・余った部品の廃却。
  • 掃除機がけ。
    アパートの服務員に臨時に来てもらって、やってもらいました。
5.使い方、操作方法
基本的には、日本のものと同じです。
モード(挡位)の変更は、昔は卓面を開いてダイヤルをカチカチ回してましたが、今は卓上のボタンを押して変更する。
  • 事前に、牌を全て取り出しておく。
  • サイコロボタンを2つ同時押し(どれでも良いが、隣同士を押す)すると、モード変更状態になり、現在のモード番号が表示される。
  • 開閉ボタンを押して、番号を変更する。一方の開閉ボタンがプラス、もう一方がマイナス。
    番号表(档位表)は昔と変わらず、卓面裏に貼ってあるので、組立時に撮影してスマホに保存しておこう。
  • サイコロボタンをどれか押すと、モードが保存される。
  • 開閉ボタンを押して、牌を投入する。

 

以上。使い始めて気づいたことが有れば、随時追記します。

 

追記。2年半使い倒して、モトは十分取れたので、帰国時に同じアパートの友人にタダで譲りました。

  • 赤牌…中国には無い。花牌での代用も考えたが、どの花がピンズか萬子か間違える、という意見を汲んで、マジックで色を塗ることにした。淘宝を検索すれば、麻雀牌補修用のマジックが出てきます。と言っても、文房具屋で普通に売ってる色マジックです。
  • 点棒箱…日本式の点棒を使う場合、麻雀卓付属の引出は深すぎて使いづらい。石鹸ケースみたいなのを買うと良い。私は無印良品で1個35元ほどのハコを4個買った。点棒の大きさにピッタリマッチ、でも今は廃盤になったようだ。
  • 牌詰まり…牌がエレベーターで持ち上がるとき、北家のヤマが良く引っ掛かった。中を開くと、北家方向だけガイドが低くてガイドになってない。少し厚めの紙を差し込んだら良い感じのガイドになり、詰まりは格段に減った。中国製の安物は、こういう所の品質が良くない。クレーム出したら修理してくれるのかなあ?
  • モード変更…4人のうち1人帰宅したので、3人回しに変更。という時が一番失敗しやすい。モードを変えて、萬子の中張牌を抜いて投入したら、まだモードが変わっておらず牌不足エラーで止まる。そのエラーに気づかず、次の牌を全部投入してしまい、今度は中に牌が沢山余ってしまい…こうなるともうどうしようもない。牌の色が混じってしまうが、とにかく残り牌を投入して洗牌して取り出して、を繰り返し全て取り出した上で、手作業で牌を色分けすること。面倒くさがって、機械内部に手を突っ込んで牌を取り出そうとしても、取れるものではない。そもそも危ない(指切断するかもしれんよ)。
    これは日本製でも同じ。
  • 清掃…牌が段々ベタベタしてくるので、牌清掃用のワタ玉を買って機械内部に放り込んでおくと良い。淘宝。安い。
    さらに、スプレー式の牌洗浄剤を買って時々清掃すると良い。牌を並べ、スプレーを吹きかけ、乾いたぞうきんでふき取り、牌の向きを変え、を6回×2セット繰り返す。結構手間なので、メンツが揃うのを待ってる時に暇つぶしがてら手伝ってもらうと良い。
    卓も、同じスプレーを吹きかけて掃除すれば良いです。普段はブラシでホコリを取り除く程度。
  • 卓の緑色の布…2年半使っても、浮き・破れ等は起こらなかった。もし交換するとなると、ネットで見る限り、布と接着剤を淘宝で買って、DIYで張り替えるしかなさそう。それなら、私なら卓ごと買い替えるだろうなあ。
  • 引越…かなり大きく重いので、SUVやステーションワゴンであっても乗用車に載せるのは無理だと思う。引越業者と相談ですね。