ミックス、マスタリング、そしてDDP納品
基本、餅は餅屋
音源制作では
レコーディング
↓
ミックス
↓
マスタリング
という大きくいうと三つ工程があります。
通常僕はミックスの後、マスタリングエンジニアさんに
データを納品してマスタリングをお願いしています。
これは、同じ音を扱うという作業であってミックスとマスタリングでは
全く違う作業工程と認識しているからです。
それと、一つの作品に一人でも多くのプロが携わることによって
作品が自分の視点とはまた違う視点から良いところを引っ張り出して
くれることになっていくことを知っているからです。
(※人選を失敗すると改悪になることもありますが。。。)
「餅は餅屋」これです。ほんとこれ。
何でもかんでも1人でやれちゃう、そういう人も居ます。
すごい才能だと思います。
でも僕が言っているのは技術とか才能とかの話ではなく感覚の問題です。
違い人のアイデアや視点がどれだけ作品を変えて行くか、その辺の
魔法を一度経験すると、いろんなプロと作品を作り上げて行く意味や大切さが身にしみます。
これまで全部一人でやって来たという方、是非他の人とコラボしてみて下さい。
オススメです。
話はそれましたが、このマスタリング、ミックスとは作業が全然違います。
LRの2mixしかないのでやれることが限られる分、その作業の音に対する影響力は大きいです。
故に非常に重要な工程になります。
また脱線しますが、マスタリングエンジニアでそれまで積み上げて来た世界観を一気に
潰されることもあります。初めて一緒に作業するマスタリングエンジニアは僕はちょっと注意しますし、
必ず立ち会います。なぜならマスタリングがそれだけ仕上がりに大きく影響することを
知っているのと、エンジニアの作品への理解度で方向性が一気に変わってしまう危険があるからです。
マスタリングも兼務する時の苦悩
そんなんなら自分でやればいいじゃないか、という意見もありますが
前述した通り、僕は出来るだけ多くのプロが作品に関わった方が作品にいろんな面から
いろんな魔法が掛かるのでそうした奇跡に掛けたいと考えています。
それと、ミックスした作品をそのままマスタリングするとなると確かに方向性や世界観は
統一されるかもしれませんが、それが故に遊びがなくなります。
そしてミックス作業で自分がどういう仕掛けを組み込んだか分かっている分、それを結構
引きずってしまうので、ちょっと日程を空けたり、気分転換など精神的なメンテナンスが大変なんです。
それでも予算の問題でマスタリング代が捻出出来ないということも多々ありますので
自分がそのままマスタリングもする機会もまあまあ増え、自分の中での作業の切替も抵抗無く
できるようになりましたし、マスタリング作業も勉強してきましたので請け負ったりします。
マスタリングでの環境変化
それでマスタリングの世界では大きな出来事がありました。
それはメディアの変化です。
マスタリング作業後にプレス屋に納品されるのはU-matic (シブサン 3/4)、通称”弁当箱”でしたが
再生機の方が生産完了となりました。このU-maticはマスタリングスタジオでは一般的でした。
またPMCD(プリマスターCD)を受け付けてくれるプレス屋もあったので
マスタリング後にCDを焼いてそれを送ったりしてました。
PMCDで納品が出来るということで、その辺から僕もマスタリングもやるようになりましたが
エラーのないデジタル変換、書き込みの環境を整えるのに非常に注意しました。
このマスターCDですが、実は専用のCDRがあります。いや、ありました。
太陽誘電さんのCD-R for Masterです。
太陽誘電製 That's CD-Rデータ用 16倍速マスターディスク用 盤面薄水色 10mmPケース10枚入 CDR-74MY10P
これ一枚で498円くらいでした。
10枚セットで5000円前後でしたので、これをいくつかまとめて買い置きしておくということをしていましたが
リンクに飛んでみても分かる様に、生産中止になったため、今非常に希少価値があがり、
同時に値段も5〜6倍に跳ね上がっています。
確かに国内生産品で丁寧に作られたエラーのない信頼できるCDRでした。
が、こうなってしまっては使えません。
でもまあ何かなくなると新しいものがでてくるもんで、次の流れはDDPになります。
Disc Description Protocolの略ですね。
これは音含め、フェードや曲間など全ての情報を含むデジタルデータなのですが、
最大のメリットは劣化がない、そしてデータなのでやりとりが楽ということです。
大そしてデメリットは、DDPの作成/展開には専用のソフトが必要になるということ。
まあU-maticにしても専用機材が無いと何も出来なかったのでまあこの辺は同じかなとは思いますが、
それ以上にメリットが大きすぎた。進んでDDPに移行しましたね。
今自分はDDPのファイル作成にはsoundbladeを使用しています。旧sonicですね。
Sonicといえば当時から僕の知るマスタリングエンジニアさんたちはSonicを使っていました。
Mixoutをchain組んでEQ/Comp作業してSonicに取り込んで曲間調整とPQ打ちをして、それを
U-maticに流し込むという流れでした。
で、そのsonic solutionがディスコンになり現行soundBladeとして生まれ変わりました。
【正規輸入品】 Sonic Studio soundBlade HD Mac マスタリングソフト
sonic studio社のsonic solutionの流れを引継ぐsoundBlade、まず間違いないのですが
個人的には操作性が少々問題で、それは僕がprotoolsに慣れすぎているからというのがあります。
ショートカットが全然違うんですねー。毎回毎回注意しながら操作しています。
でDDPなんですが、書き出したデータをDVD-Rに焼いて納品とかやっていましたが、
それもさらに便利になり、今ではメディアに焼かなくてもネットでファイル送信で済む様になりました。
ネット納品も結構受け付けてくれるところもあるので「DDPでネット納品」が今自分の基本です。
いや、便利な世の中になってもんです。
もちろんこれをこなすためにいろいろなハードルはあります。
ソフトウェア、DDPガイドラインなど技術だけじゃなく知識としても覚えることはあります。
が、それをしても音の劣化の回避や取扱の簡易化などメリットはとてつもなくでかい。
こうしてものがオワコンになっていく反面、新しい技術や製品が生まれてくることでワークフローが
改善していきます。
次はどんな当たらしい製品が開発されていくんでしょうか。
取り残されないように食いついて行きたいですね。
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