音楽制作をエンジニアとデータのやり取りで進めていくときの注意点(続き) | smooth foundation代表 Motoki Mike Sagawaのblog

音楽制作をエンジニアとデータのやり取りで進めていくときの注意点(続き)

前回の続きでもうちょっと突っ込んだ解説しますので
ここからは、もっと詳しく解決策を知りたい人向けに書きます。



*1 ノイズ問題について

ジー
このノイズの時は電源系です。
ちゃんとした電源をとる(整電機材を通すか別電源を試してみる)とか
家庭用電源でやっている場合はまわりが電力量上がっているときは不安定になります。
夕食時などはさけると供給がおちついたりしてのノイズが無くなったりします。
あと良くあるのはオーディオインターフェイスが原因。
USBのバスパワー駆動のオーディオインターフェイスはノイジーです。
オススメしません。

シャー
これはマイクやマイクプリのS/Nの問題です。
S/Nというのは音(signal)に対しての乗って来るNoiseの比率ですが
簡易なものはS/Nが悪いものがあります。
バラードなんかでオケが静かだと相当目立ってきます。
で、その周波数帯域をカットするとバラードには美味しいブレスや吐息系の部分も
一緒に無くなっていってしまいます。良いテイクでのそれはツライ。
マイク、マイクプリなんかをちょっと程度のいいものに変えた方が良いですね。

ブチブチ
デジタルノイズか断線。
デジタルノイズはデジタル機材を使っている場合に起こり得ます。
同期させて使うのですが、マスターに対してスレーブの設定がちゃんと出来ていない場合など
こうしたエラーノイズが出ます。
断線ならケーブル変える。

ボアボア
吹かれ、ピークによるノイズ。
歌録りなどで、マイクに近すぎるとパピプペポなどの爆裂音のときに口から一気に排出された
空気でマイクのダイアフラムという空気圧で作動する調整弁がベコベコ動いてしまいこうした
ノイズを発します。ポップガードを使いましょう。
さらに口元を狙うマイクの角度を変えましょう。
(実はこれで録れる周波数帯域も調整できたりする)
あと過剰入力していると音が飽和してビリビリボアボアになったりします。
そんなに頑張って突っ込まなくても大丈夫なので適正音量で録る様にします。

ぴちゃぴちゃ
これはリップノイズ。
唇が離れる度にぴちゃぴちゃ音が鳴っているのが録れちゃうぱてぃーん。
緊張して口乾くとこうなりやすくなるのでこまめに水を補給して湿らせます。


*2 適正な録り音量
録る時の適正音量ですが、まあいろいろ人に寄っても持論があるでしょうから
最大公約数的なところの話をします。
たぶん今はほとんどの方がDAWなので、DAWに絞りますが、メーターはprefaderモードにして
そのフェーダーの上がり下がりに関係なく入力レベルをメーター表記するようにします。
その反対にpost faderになっていてpreにする方法が分からないという場合はフェーダーを
とりあえず0のところにしておきます。
そしてマイクプリを上げていきますが、どんなにでかい音をだしても赤(PEAK)に行かないよう
にしておきますよ。Peakが100%だとすると、50~70を行ったり来たりくらいで様子をみます。


*3 コンプ/EQ
これは奥が深いです。種類によっても特性は変わるのでどうすれば良いかは
そのときの録る楽器、演奏者、BPM、音楽スタイルによってぜんぜん違うセッティングです。
実際にやってるところをみてもらうほかありません。。。

*4 録り音
演奏の音を忠実に録ることがまず大切です。
それ以上でもそれ以下でもないです。
が、案外これが結構難しかったりします。
部屋の鳴り、演奏者、マイク、マイクの角度、マイクと音源との距離、マイクプリ、オーディオインターフェイスや結線するケーブルの種類など複合的な要素によって録り音は左右されます。
それだけではなく、その録ってる音を聞くヘッドフォンやスピーカーのスペックなどのクセも
把握していないと判断も狂ってきますので注意です。
なので作業の前にその音の出口である使用しているヘッドフォンやスピーカーの特性や基準の音を
把握することが大前提です。

まずは生音を良く聞きます。
その音像を頭に叩き込みます。どのマイクをどの角度でどのくらい離してセッティングすると
どうなるかがイメージ出来ていないとマイキングで果てしなく時間を喰ってしまいます。
僕ですが、毎回セッティングは違います。
なぜなら曲も違えば演奏者も違う、もっというと演奏者の気分→演奏の仕方もかわってくる。
それをすべて加味した上で今正に目の前で起こっている事をキャプチャーする組み合わせを
ばああーっとセッティングしていきます。

*5 アンプシュミレーター
僕はよほどのエフェクト的な使い方でない限り否定的です。
なぜなら、シュミレーターはシュミレーターでしかない、からです。
時間や場所があるのであればリアンプします。
最近は結構おおいです。というのもレコーディングの時間の短縮になるからです。
例えばEgtを録る場合、ギターの音決めにも時間は掛かりますが、その上OKテイクがでるまで
1000本ノック状態で演奏が続きます。時間が迫ってきます、どんどん焦ります。
テイクはどんどん無難なものになっていき、本来録りたい物が録れないということがあります。
レコーディングで僕らが欲しいのは良いテイクです。
自宅で、自分の時間を十分使ってパンチでもしながらでもラインで録った完成テイクがあれば、
後はそれをリアンプと行って、そのラインの音をampに流し込んでアンプをならし、
そこにマイキングをして録音します。
ストレス無しです。ギタリストの負担も軽くなります。

*6 良いテイクを録る
これは一番アナログな部分ですが、実は一番レコーディングという作業で大切な部分です。
入ってない気持ちはMIXでは作って入れる事も出来ない。
アーティストがアーティスティックな部分を思い切り注ぎ込むことができて
初めてよい作品が生まれていくもんだと信じていますので僕は相当ここにこだわります。
正直音質なんかは良く録るのは当たり前の事過ぎるので現場では気にしません。
語弊があるかもしれませんが、エンジニアは良いテイクを良い音で録ることが使命ですが
良い音で録ることよりも良いテイクをキャプチャーすることの方に僕は神経を使います。
そうできるように良い音で録る事に関する技術や感覚を高めてきました。
当たり前のことで、こだわるのはもっと先のところであるべきだと思っています。


まあまあそうは言っても結局は良いテイク使うというのが一番のpriorityです。
その良いテイクを使うために僕らは技術や経験を駆使するわけです。
例えば

ベストなアコギテイクが録れました→送ってもらう→エンジニア確認→クリックのbleed(漏れ)

視覚的にするとこう
補正前

下の方に等間隔で入っている点線。コレ、クリックが鳴っている周波数帯域。
オケ中ではぜんぜん使いますが、イントロのギターと歌だけとかだとこれは普通使えない。
マスタリングで絶対出てきてしまうところ。

なので神の領域(僕の中ではよっぽどの事が無い限り踏み入れない場所)に踏み込む。
なぜなら、どうしても使いたいテイクだから。
すると。。。↓↓↓
補正後

はい、クリックの帯域だけ除去しました。
もっとわかりやすくすると



爆音で聞かないともしかしたら聞こえてこないくらいの漏れかもしれない。
が、ここでこのくらい処理しておかないと後で絶対に出てくる。
そうしたところを見逃さず潰す。
こうした道具を必要に応じて手取り足取り使える様にしておくのはエンジニアとして当たり前
だけど、これは当たり前すぎてエンジニアの本来の仕事とは思っていないくらい。
TDにおいて僕が一番仕事をするのは演出だと考えています。
それはそのための下準備ということです。

まあ僕はテクニカルな観点より感覚的に作業していく質なので細かいことは解説しませんが
時々そのテクニカルな部分を知りたいというミュージシャンや同業者の方がいらっしゃいますので
教えるというよりも一緒にやり方を考えるようなワークショップを企画しています。



一コマ50分、その50分はプライベートレッスンでも、バンドや音楽仲間と一緒のグループでも参加は可能、予約すればおかわりも可能です。料金は一律4000円です。

①11:00am~11:50am
②12:00pm~12:50pm
③02:00pm~02:50pm
④03:00pm~03:50pm
⑤04:00pm~04:50pm
⑥05:00pm~05:50pm
⑦06:00pm~06:50pm
⑧07:00pm~07:50pm
⑨08:00pm~08:50pm

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