誰にも悟られなくて、いつものように笑ってやるべきことをこなして...

でも、確実に自分の中で「休みたい」という感情が目の前にあった

周りに心配をかけたくなくて、なんとか自分を奮い立たせて歩みを進めていた

心のエネルギーはもうほとんどなくて、毎日誤魔化してエンジンをかけて普通の走行をしようともがいた

それも限界が来たようで、遂に学校をサボった

というより、家の近くの公園で足を止めたら、それ以上進めなくなってしまった...










「あれ?由依?」

「...え...あ、理佐。」


私に声を掛けてきたのは、近所に住んでいる歳上の幼なじみ
いまは大学生で、私とは1日の流れが異なり最近は会っていなかった


「ここでなにしてるの?」

「いや、えーっと......」


どう説明していいか分からず答えられないでいると、私の頭に手を乗せてきた


「いいよ。別に答えなくても...」

「え?」

「休みたい時は休んじゃえ!」

「り、理佐?」

「大学生になると、自主休講とか言って休む人多いから!」

「ん?」

「行きたくない、めんどくさい、遊びたいって思う時は、自分の気持ちに正直になって休んでリフレッシュしたり好きなことをやったりしたほうが絶対いいよ。」

「別に休みたいわけじゃ...」


私の方を見て、楽観的に話しているこの幼なじみに反抗したくなる


「いいからいいから!由依が我慢しちゃってしんどくなるの知ってるから。」

「だから、そういうんじゃ...」

「うるさい。とりあえず、遊びに行くよ!」

「いや、でも...」

「じゃあ、これから学校行ける?」

「......。」

「由依と何年の付き合いだと思ってんの。由依がどういう性格か知ってるんだから。」


全てを見透かし歳上の余裕を見せつけられ、悔しいけれどなにも言えなくなる


「休むことは逃げることじゃない。毎日を豊かに生きていくために力を蓄えるための大切な手段。」

「...っ......」

「まぁ、大学生の自主休講は逃げだけどね。」


なんて言いながら私を優しい眼差しを向けながら笑っていて、思わず私も笑ってしまう


「そうそう。由依にはその表情が似合ってるよ。」

「へ?」

「笑顔が1番ってこと。」

「理佐......」

「あ、ちょっと待ってて。」


胸に沁みることを言ったかと思うと、幼なじみは何かを思い出したかのように、どこかに電話し始めた


「あ、もしもし?美波?......うん。これから、向かうんだけど、由依も連れていくから!」

「え?ほら、幼なじみ!......そう!この間、会わせて欲しいって言ってたでしょ。」

「いや、無理矢理じゃ......無理矢理だわ......あ、でも、ちゃんと遊びに行くよとは言った。」

「えー、美波と会えば、由依の気持ちスッキリできるかと思うんだけど。」

「うん...うん......はーい、またね。」


「誰と電話してたの?」

「大学の友達。これから、遊ぶ予定だからさ...行くよね?」

「嫌だって言っても連れていくんでしょ?」

「よく知ってるね。」

「何年の付き合いだと思ってんの。」

「ははっ...仕返しされちゃった。」

「その友達の人はいいって言ったの?」

「うん。むしろ会わせてって言われてたから。」

「へー。」

「多分、由依と気が合うと思うよ。」

「本当?」

「うん。」


幼なじみに連れられて、結局学校には行かずに遊びに行くことにした

ただ、制服のままだとマズいと思い、幼なじみの家に一旦寄って服を借りて着替えて向かうことになった










「美波。」

「理佐!と...由依ちゃん...かな?」

「はじめまして。」

「はじめまして。理佐の友達の小池美波です。」

「由依、美波にはなんでも話して大丈夫だからね。」


幼なじみがこんなことを言うなんて...と驚いたけれど、友達として信頼してるからこその言葉なのだろうと、私も信頼できると思えた


幼なじみの言葉通り、その後、遊びながら沢山いまの気持ちを話した

すごく聞き上手で、話すつもりのなかったことまで口にしていた


「由依ちゃん、またなにかあったら話聞くからね。」

「ありがとうございます。」

「美波、ありがとう。」

「ううん。理佐が大切にしてる幼なじみだからね!」

「ちょっ!美波!」

「じゃ、そろそろ帰ろっか。」

「そうだね。」

「理佐、由依ちゃんのこと家まで届けてよ?」

「はーい。」


そうして、幼なじみの友達とは別れ、2人で家に向かって歩き出す


「由依。」

「んー?」

「スッキリした?」

「うん。」

「高校生って、自分が思ってる以上に心に負担がかかってるし、それを自覚できたときって割と限界に近いんだよ。」

「......。」

「無理に吐き出せとも言わないし、無理に学校行け、休めとも言わない。でも、『こうしたい!』って気持ちがあるのなら、その気持ちのまま動いてもいいんじゃないかなって思う。」

「......。」

「『こうしたい!』って思ってそのまま動けるのって、大学生までの特権だと思うんだ。」

「......。」

「勉強ももちろん大切。でも、心や体の健康の方がもっと大切。」

「...理佐......」

「由依がまた行きたいと思って、学校に行けるまでは、なんでも付き合うから。」

「......ありがとう。」

「とりあえず、いまは沢山好きなことしよう!」

「うん。そうする!」


幼なじみのおかげで、忘れかけていた心から笑うという感覚を再び取り戻した気がした

こういう自分が弱っているときに寄り添ってくれる存在がいるって幸せなことだと思えた


心も体もスッキリしたら、また学校に行こう...




















ゆいぽんの休養発表...
突然のことで驚きましたが、前向きなことだと言っていたので、戻ってくるのを気長に待っていたいと思っています

元々、今回のこの小説の内容に関しては、休養発表をする前から思いつき上げようと思っていました
ちょうど更新予定だった日に休養発表されたので、リンクしている部分はありますが悪しからず...

私自身も仕事に追われて『休みたい』と最近思いつつ、休むわけにはいかないので、推しを見て頑張ろうという気持ちにしてから仕事に向かっています

正直、いま辛く苦しいと悩んでいる方がいらっしゃると思いますが、本当に心がボロボロで前に進むことに疲れた時は一旦休憩してもいいと思います

無理して頑張りすぎると、体までボロボロになり、回復するのにとても時間がかかってしまいます
それは数日や数週間という期間ではなく、数ヶ月や数年という人にとっては、人生に影響が出るような期間になることもあります

『休む』というのも、これから先頑張る上で、自分が自分らしく輝く上で、大切な手段です

笑うことは健康にもいいと言われています

でも、どうせ笑うなら無理矢理笑うよりも自然と笑える方がいいと思います

人生は長い道のり...
近道ばかりでなく遠回りもしつつ休憩しながら進んだ方が、きっと楽しめる人生になるのではないでしょうか...