-sin- #52

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口元に手をあてて先程のことを考える

唇にはたしかに感触があった

「さっき......私の間違い...じゃないよね?」

3人にそう問えば、黙って何度も頷いていた

一瞬のできごとであまりにも自然な動きだったので夢なんじゃないかとすら思える

彼女の方に視線を向ければ、なにごともなかったかのように本を読んでいる

こんなにも心が揺れているのは私だけなのだろうか

彼女はなぜあんなことをしたのだろうか

チャイムが鳴ったことすら気づかないくらい考え込んでしまった





「...っ...さ...り...理佐!」

「ん?え?」

「やっと気づいた。」

「な、なに?」

「今日、帰り遅くなるから...部屋でちゃんと寝ろよ?」

「あ、分かった。」

「ぼーっとしてるけどまだ体調悪い?」

そう言って彼女は私の額に手をあてた

「な、ないよ。」

「そう?ならいい。」

「うん。」

「じゃあね。」

学校でこんなに話しかけられたことなんてなかった
私を気にかけて優しい言葉を沢山言ってくれることもなかった

素っ気なさはあるものの、彼女の言動に振り回されている


「理佐。」

「由依...」

「いつの間に距離縮めたの?」

「え...いや...」

「その様子は...平手さんの態度が変わったのか。」