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SM小説

酒を飲みながら書く小説

「当店のシステムはご存知ですか? あ、田中様ですね。失礼いたしました」
「三号室の桜さん、お願いします」
「かしこまりました」


 階段を上る客の足音が響いてきて、自分の部屋なのかどうか期待を寄せる。私は日の大半をこの六畳一間の湿った部屋で過ごしている。


 扉がノックされ、心臓がそれまでと少し違うスピードで揺れ出した。
「いらっしゃいませ」
 見覚えのある田中が現れた。

「桜ちゃん、今日も宜しくな」

「よろしくお願い致します」

 田中は、スーツを脱ぎ自分でそれをハンガーへ掛けベッドに座るまでの、一連の行動を手馴れた様子で済ませた。

「こんばんは。本日は如何いたしますか?」

「いつものコースだよ、決まってるでしょ」

 来た。私の常連客の中で、一番私を興奮させてくれるこの男が、いつものコースを指定してきた。

「三万円になります」

「ほら」

 田中は週に一度、毎回同じプレイ内容を指定してくる。料金について、値引の交渉は一切してこない。私が二号室へ移動するためには、この男の指令を耐えることが必須だ。そしてそれは私の快感にもなっている。

「麻縄、水2L、プラスティック容器と#35お願いします」

 備え付けの内線電話で私は、田中とのプレイに必要なアイテムを、スタッフに告げた。数分後、スタッフがアイテムを持ってきて、直ぐに立ち去った。

 元々素っ裸の私は、運ばれてきたコスチュームに着替えた。コスチュームは、白衣(薄水色)である。


 田中は着替え終わった私の逆手を麻縄で縛った。血が止まる一歩手前の緊縛。彼の十八番である。次に正座の格好で、頭部全体が覆われるようにプラスティック容器を被らされた。そして田中は下半身を露にし、「行くよ?」と確認してきた。

「お願いします」

 田中は、2Lのペットボトルからミネラルウォーターを、私の被っているプラスティック容器に勢いよく流し込んだ。約四分の一(500ml)を入れれば、私の顔の容積でプラスティック容器は満杯になる。

 私は緊縛され動けない手に力を入れながら、容器に満たされたミネラルウォーターを飲み干す。飲まなければ私は窒息が理由で、座ったまま溺れ死ぬ。

 田中はミネラルウォーターが減ったのを見ながら、次々と溶液を継ぎ足す。私が息ができるかできないか、ギリギリの高さまで水を入れ、もがき苦しむ私をおかずに、露になった下半身に刺激を加えている。


 2Lのペットボトルが空になり、最後の一投との戦いが始まった。これを飲みきれば、田中のプレイは終了となる。逆に飲みきれなければ、やはり溺死することになる。

 私のお腹の中は、水でパンパンに膨れ上がり、限界を訴えている。激しい運動の後に補給するスポーツドリンクとは訳が違う。それほど冷えていない、ぬるくて味の無い水を、ひたすら飲み干す。生きるために飲む。この必死に苦しむ私の顔が、田中の餌なのだ。同時にこの苦しみは私の快感でもあるのだ。


 私の全身は強烈な脱力感と快楽に溺れた。2Lの水を飲み干し、今日も生を得ることができた。水で濡れた頭部に、それとは違う温かみがある液体が乗った。田中も射精に成功したようだ。


「ありがとう。最高の顔だったよ」

「ありがとうございます、またのご指名をお待ちしております」


 田中は開業した歯医者に勤める歯科衛生士(女性)に、強烈な性欲を覚えるという。しかしもちろん現場でこのようなことを行うリスクは大きいため、私を代替としているそうだ。


 今日も私は一人の男の願望をかなえた。これでまた一歩近づいた。