4月10日 午後9時07分

 

 SA****さん、もお*さん、二人のお子さん(ええと〈ぷん**〉と〈ぷん**〉だったな)のお見舞いを受けて。ちょっと遅れてSさん〈この間僕の昔の投稿を批評した人〉も加わった。
当然のことながら、アスキーネットの初期のころの話題で花が咲いた。SA****君持参の清酒で、僕も久々にかなり飲んだ。

 

 だが、ここで書きたいのは、そんなことではない。まず、もお*さんが持参して貸してくれた彼女の蔵書の数々である。
タイトルを列挙しよう。「愛を込めて・ガン病棟からの報告」
「家で死にたい」「生きて帰りぬ・がん院長、進行がんをともに14年」
「いのちと生きる」「看護婦が見つめた人間が死ぬということ」
「患者と語るガンの再発・転移」「ガン病棟のカルテ」
「ここが僕たちのホスピス」「死ぬまでになすべきこと」
「病院で死ぬということ」「続・病院で死ぬということ」

 

 これでも、彼女のこの種の蔵書の一部にすぎないという。この11冊は、いずれもガンと死について書いてあるものだが、ガンを医学的に解説した本は一冊もない。まさにボクやカミサンが読みたいと思うテーマのものばかりである。ボクは編集者であり、出版人のはしくれだから、まず「家で死にたい」というタイトルに脱帽
した。これから読んでみようとおもう。

 

SA****君は、別れ際に、一通の分厚い封筒をボクに手渡した。
「後で読んでください」と言い残して、彼の姿は遠ざかっていった。
部屋に帰って読んでみるといそれはA4版用紙6枚にびっしりタイプした手紙だった。ボク宛の私信だから、内容をここに書けないのが残念だか、もし、ボクを感動させた手紙のベストテンみたいのを選ぶとしたら、まちがいなく上位に入るにちがいない。

 

 彼はかつて「スミスさんは、他人のプライバシーの扱いにだらしがない」とボクを非難したことがある。そういわれてもしかたがないほど、ボクにはその方面に甘いところがある。その彼が、プライバシーどころか、心の内面まで、さらけ出して書いてくれた手紙がボクの心を打たないはずがない。ボクは編集者という職業柄、他人の書いたものを覚めた目で読みがちである。だが、この手紙はそんな気持ちはまったくおこらず、今彼がアスキーネットにIDがなくボードの上でやり取りできないことが、口惜しく思えてならなかった。

 

  ありがとう。>SA****&もお*

4月10日 午前3時50分

 

 夜中に痛みで目が覚める。痛くて寝てられないから起き上がるしかない。からだを起こしていたほうがラクなどのである。

 

 病院だと、ベットの上で正座しているしかない。これだと、「俺はガンなのだ」とか考えて、気が滅入ってしまう。

 自宅だと、茶の間とか自分の書斎のストーブをつけて、ビデオを見たりできる。これは気を逸らすことができる。

 

 こういういうときは腹もへっている、何か食べたほうが痛みもやわらぐ、病院だと、引き出しをさがしてビスケットなどを食うしかない、飲み物もなく、あんなパサパサしたものを食うのは味気ない

 自宅だと、コーンフレークに牛乳をかけてみたり、カップ麺を食ったり、ポタージュの缶をあけて電子レンジでチンしたりとバリエーションも豊富である。

 

 今夜は、コーンフレークだった。食って、裏ビデオを見た。
こいつは最高に気を逸らわせたりことができた。映画もいい。いままで「騎兵隊」「ウォール街」「推定無罪」などをみた。
映画番組を録画したまま、見てないテープがけっこうある。

 

 そう、だから、俺は入院したくないのさ。

4月8日 午後8時45分(2)

 

 ボクはは、物書き商売をしているくせに、書くことが嫌いです。

小さい時分からそうで、いまだにそのクセはなおっていません。
何か書かないといけない、というと、「作文の宿題」のような感じになったしまって、ストレスになるのです。原稿はいつも締め切り日になってからやっと書き始めます。それは、パソコンで書くようになってからも同じでした。「すいません、もう半日のばしてください。明日のお昼には必ずお渡ししますから」というのが決まり文句でした。(過去形で書かねばならないのが悲しい)

 

 花見のあと沈黙していたのは、花見で疲れていたのもあるですが、またこの怠けグセが出てきたともいえるでしょう。

 

 今度の病気になってから、いろいろな方からお見舞いのお手紙をいただきました。ふつううならお礼と簡単な病状報告の返事を書きますよね。そういうのはストレスになる、と称して書かないのです。どうしても返事を書かないとまずい人にはしかたがないから、カミサンが書いていました。彼女はいちおうボクに読んで聞かせるのですが、ボクは、うん、よく書けてる、それでいいよ」としかいわないからバカにされていると思っているみたいです。

 

 とここまで書いて、ふと前のほうのレスポンスで、普段あまり書き込みのない人たちのハンドルを取り違えてしまいました。ありゃ、これは差し障りのあることを書いちゃったと反省したのですが、まあ、彼らが書けない理由は、ボクのような単なる筆不精とちがうことは、一見してあきらかですから、これはお許しいただけるということにして、このままにさせてください。

4月8日 午後8時45分(1)

 

(ある人の書き込みを受けて)

 

 そうか、ターミナルステージ〈いわゆる末期〉になると、自分の意思さえ伝えられなくなるのか、だったら、抗ガン剤にはためらっている、スパゲチ医療もお断りだ、上手に死なせてほしい、という意思は、何度でも、誰にでも、今のうちに強く表明しておくべきだ、と改めて感じました。

 

 担当医のプランでは、抗ガン剤のために8か月もの間入院することになっている、ということは、この前書きました。ボクの「残り時間」が何か月あるのかわかりませんがそのうちの一番オイシイ部分を、効かない可能性のほうがはるかに大きいクスリのために虚しく浪費されようとしているわけです。

 

 有り余っているお金なら、どんな馬券を買うのもいいでしょう。でも、ボクのいま持っている「残り時間」は、自分の将来すべてを抵当にして借りた最後の持ち金のようなものです。本命の馬券であってもギャンブルには使えないお金です。それで無印の馬券を買えますか?そんなのイヤです。

 

 病室から戻ってきたときには、おそらく体力は使い果たして、単に生きているだけかもしれません。それどころか〈比喩的な意味でなく医学的な意味で〉心臓の弱いボクにとって病室からまっすぐ霊安室のほうに「ご案内」されてしまう危険だって、ないとはいえないでしょう。

 

 いろいろな「計算」から、1クールか2クールの抗ガン剤は受けるつもりですが、それ以上は絶対にイヤだ、と、まずここに書いておきます。

4月6日 午後6時03分

 

 

 

 さっき、午後5時ごろ帰宅しました。さすがに疲れました。
でも、おかげさまで予想外の大勢の方々にお目にかかることができました。人数は数えませんでしたが、30人以上集まりましたよね。有名な8年前の「アスキー乱入花見」のときよりも多かったのは確かです。で、場所も、あの思い出の場所、墓地中央交差点の北西の角、「西家之墓」の前でした。


 で、お集まりいただいた方々のお名前は、ボクには覚えきれなかったから、どなたかにレポートをしていただくことにして、一つだけご報告しておきますと、ボクがこのノートのRes:37で叱りつけたお二人にもお会いしました。ユカ**はこの花見の発起人だから当然として、新*君は、本当に束の間の挨拶だけに立ち寄ってくれたのですがお菓子の包みを用意してよってくれました。これでお気持ちはじゅうぶん伝わりました。ありがとう。先日は激怒のあまり、たいそう無礼なことを書きましたが、あの件は、これで「チャラ」ということにさせてください。

4月6日 午前12時25分

 

(稲*さんたちが、スミスが契約したのは、スカパーか何かだと勘違いしている発言のあと)

 

 みんな勘違いしてるよ。ボクが契約したのは、衛星テレビじゃなくて、衛星デジタルラジオなんだよ。だから、「画像」とか「画質」なんてないのさ。

 

 Z-Sky(1~6ch)と、ミュージックバード(7~12ch)の二つのラジオ会社が、ジャンル別にチャンネルを配分して、音楽番組を流しているんだよ。
 
 音質は、ボクのチューナーが「特価提供品」だからまあFM放送程度ね。CDの音に比べたらちょっとプアかもしれないけどボクは鳴ってさえいればいい、くらいのつもりで導入したからこれで満足しています。

4月5日 午前10時06分

 

★4月5日金曜日  晴れのち曇り

 

 内視鏡検査のため、がんセンターにゆく。内科部長の大倉先生がじきじきにスコープの操作をしてくださる。これが意外といっては失礼だが、操作がうまかった。時間もわずか13分で終わった。し書き、すでにガンの来ているらしい十二指腸につっこまれた時は痛く、うめいた。組織の取り出しもあったから、回復室で30分ほど寝させてもらった。帰宅途中自宅に近いそば屋でたぬきそばを食った、全部食べられた、うまかった。

 

 おもいがけず、NIFTYServeのIDのSA****君からメールがとどいていた。彼に会いたい。自宅の留守電に電話を求める伝言を入れ、メールも出しておいた。夜、彼から電話あり。明日の花見にもお*さんやお子さんを連れて、一家で来てくれるという、嬉しい。

 

 夜、net54***(都*)さんから、電話あり、かねてからの約束ボクとカミサンを彼女の自宅の料理に招待してくれる話を、14日の日曜日13時と約束する。Ku****さんがまた寄ってくれた。こまめに、彼らしいちょっとした見舞い品を届けてくれる。これまた嬉しい。

4月4日 午後9時28分

 

 月曜日に、CS-PCM放送受信のための、アンテナ工事業者がきて、ついに我が家の屋根にも中華なべが乗りました。

 

 方向感覚のにぶいNHK集金人がきたら、「アンテナの方角をよく見ろ。NHKの星は南南西だろうが、うちのは南東のを向いているんだといってやるのを楽しみにしています。

 

 取り付け後2週間はスクランブルはかけないから全部の放送をお楽しみいただける、のだそうです。とりあえずミュージックバード社の第7チャンネル(クラシック音楽)とPCM Z-スカイ社の第6チャンネル(クラシック音楽)の2本を受信したいという申込書を送りました。チャンネル1本あたりの受信料は月額600円です。これで24時間音楽が鳴る環境ができるのですから、安いことは安い。

 

 しかし、ハードウエアの値段は高いんです。チューナーとアンテナのセット77,250円というNECの特価提供品にしましたが、チューナーはデジアナ変換のグレードによっては、数十万円のものもめずらしくありません。

 

 有線放送ならハードウエア3万円、受信料6千円というのが相場ですから、むつかしいところですが、まあ、衛星放送のほうがカッコいい、ということでこっちにしました。

4月4日 午後9時27分

 

 Sh***さんには、会社へのFAXやらmailやら、junk.testのアップロードやらで、オペラの公演日程でたいそうお世話になりました。

 

Ca***さんからは、ウィーンの公演日程をはじめ、オーストリー政府観光局での最新資料の数々をお送りいただきました。こちらは、いつものことながら、日本語のものが多く、横文字に弱いスミスは助かります。ムリして、ドイツ語の日程表を読むと開幕時間や入場料もわかります。

 

日月  国立オペラ座       フォルクスオパー
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25.4 ナクソス島のアリアドネ   ジプシー男爵
26.4 魔笛            ロシア皇帝と船大工
27.4 魔弾の射手         カルメン
28.4 神々の黄昏         ヴェニスの一夜
29.4 ナクソス島のアリアドネ   ドン・パスクワーレ
30.4 愛の妙薬          こうもり
1.5  さまよえるオランダ人    こうもり
2.5  バレー:ロミオとジュリ   休演
3.5  トスカ           ボエーム

 

 まだ「ゴーサイン」も出ないうちに一人はしゃいでいます。カミサンと次男はうんざりした顔をしています。これで「ドクターストップ」でもかかったら泣くよ。

4月3日 午前12時34分

 

●4月2日火曜日 曇り
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 9時から築地国立ガンセンターセンター中央病院で診察、なんやかや
で、13時近くまでまでかかる。地下の喫茶店で昼食。東銀座駅でカミサン
と別れ、編集部に顔を出す。一週間ぶり、14時半から17時半まで、約3時
間をすごす。次男に迎えにきてもらい、先週同様ボクが運転して帰る。
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 大蔵内科部長の診察のほか、担当医に指名された内科の奈良林先生、整形外科の横山先生を紹介されました。ヨーロッパ旅行のゴーサインはまだ検査項目が必要とのことで、11日の木曜日に延期されました。モタモタしているとゴールデンウィークにかかってしまいそうです。

 

 横山先生の診察は、11時半ころから、12時半ころまで、1時間近くもかかりました。内科の患者なのに、整形外科医が担当医のチーフを勤めるのは、ボクのガンが、手足などに多いタイプのガンなためです。予定している抗ガン剤は、
 

      IFO(イホマイド)
      DTIC(ダカルバシン)
      ADR(アドリアマイシン)


という3種の同時投与で、3種のうち上の二つは内科ではあまり使わないクスリなことからこの3種の経験が多い整形外科医が指揮するということのようです。

 

 副作用は(1)出血性膀胱炎(2)心機能の低下(回復しない)(3)吐き気、嘔吐、食欲不振(4)白血球や血小板の減少、貧血、骨髄抑制(これらのに回復3~4週間必要、免疫力が低下するから退院は出来ない)(5)粘膜障害(6)脱毛なのだそうです。かなり苦しいものだそうです。

 

 このクスリでガンが縮小される確率は3割、縮小と延命は別問題で、延命効果ありというのはさらに数分の一つまり、延命効果が出るのは1割くらいしかないのだそうです。ただし、延命効果があった患者には共通点があって、「悪性繊維性組織急腫(組織の形がいろいろ不ぞろいな肉腫)の場合が多いのだそうで、ボクの組織再確認の結果この種類なら成功確率はかなり上昇するとのことでした。

 

 「先生、ちょっと待ってください、ボクは病気と戦う意思はじゅうぶんにあるつもりですが、突撃、突撃ばかりで玉砕必死の局面で、退却命令の出せない指揮官にはなりたくありません。うかがったかぎりでは、犠牲ばかりが大きくて、戦果が期待できる確率が低すぎるように思います。退却命令を出すべき戦局なのではありませんか」

 

 「一線も交えずにですか。2クールくらい投与してみれば、効きそうかダメか、かなり判断できるものです。その段階で和平交渉することはできるのですが」

 

「短期和平の道が残されているというのなら、話は別です。戦線を限定した局地戦ならやってみるネウチはあると思います。」

 

 診療という名目でしたが、実質は医師(参謀)と患者(司令官)の息詰まる作戦会議でした。