私の浮気後編 | 自己愛夫とその家族から命がけで逃げだした離婚劇。

自己愛夫とその家族から命がけで逃げだした離婚劇。

離婚から数年経ちますがまだカウンセリングに通っています。
静かなるDVは一生のダメージを残しました。
怯えることのない幸せで豊かな暮らしを手に入れるまで。
同じように苦しむ誰かの助けになりたい。
離婚劇での主役は夫より夫家族になるかもしれません。

前編からのつづき。

美容室に行くお金がなく髪が腰まで伸びていたが、いい加減赤ちゃんのお世話をするのに鬱陶しく、美容室に行くことに決めた。

パーマもかけた。私にとって相当な贅沢をした。

赤ちゃんと初めて離れる時間。元夫くんに赤ちゃんを預け、一人で初めて出かけた。


これが私の浮気のきっかけだ。


美容室に行って驚いた。

まず美容師さんは褒めるのが上手い。久しぶりだったのでその感じを忘れていて、褒めちぎられて、私は自分が人間だったことを思い出した。

そしてあまりにも人と話さない生活をしていたせいで、口が動かなくなっていた。正確には言葉が詰まって出てこない。そしてテレビも見ない生活で、世間のことを何も知らなかった。

脳も回転しないし、やり取りがうまく出来なくなっていた。

私はショックを受けた。

元夫くんとは毎日少しは会話するが、決まった内容で変わらない言葉しか使わない。

義理家族と会うことはあるが、みんなおしゃべりだから私は聞き役だった。

あとは赤ちゃんの検診の時、先生や保健師さんと話すくらいで本当に人と会うことも会話をすることもなかった。

だからスムーズに世間話をする力がなくなってしまっていた。

これには相当落ち込んでしまった。

人間だったことを思い出し、でも人間なのに話せなかったことに落ち込んで立ち直れず、家から出ることも出来なくなった。


産後鬱の症状が悪化した。

幻聴が聞こえるようになり、買い物に行くと動悸がしてスーパーの入口にさえ入れなくなった。

感情と関係なく涙がぼろぼろと出て止まらない。

今、自分が起きているか寝ているかも分からない状態になった。


ついに病院に行き、薬物治療を始めた。


強い薬で最初は副作用が強かったが、涙はコントロールできるようになって来た。

2回、親子イベントにも参加してみた。

でもいつも自分がここにいるという感覚がなかった。

外に出ても、家に帰ると、独房に閉じ込められて完全に世間とシャットアウトされ、無期懲役の刑罰を受けているようだった。ワンオペ育児で赤ちゃんの成長を分かち合える人もおらず孤独だった。

あまりテレビも見ていなかったため、この時期の流行の曲や番組など何も知らず、育児の合間に本を読む程度で、娯楽もなかった。


死にたいな、でも死に方が分からない、この子の親が私だなんてなんて可哀想なの、と毎日思っていた。

元夫くんは自己愛性なので話せる話題は、

"彼が聞いて気持ちの良い話"だけ。

まさか結婚生活が苦しいなんて話したら殺されてしまう。


変わらずSNSでは友人たちが輝いて生きていた。

私が結婚式の招待を断ってばかりなので、あまり良い結婚生活をしていないことはバレていて、惨めだった。

死ぬことばかり考えていた。


ある日、赤ちゃんが寝た後、SNSをチェックしていたら、学生時代に少しだけ付き合った彼氏を見つけ、メッセージを交換した。

元夫くんと一時別れていた期間に付き合ってくれた人で、付き合ったとも言えないほどの短期間で、何回か会ったくらいで特に理由もなくすぐ別れてしまった。

けれどとても楽しくて優しくて良い人だった。

そこで今までの苦しみが爆発してしまった。

この人と結婚していたら話し相手になってくれただろうなと思った。

そしてメッセージで、

あなたと結婚したら良かった、と言ってしまった。


言った直後にハッとして、後悔して、私の態度はおかしくなって、帰宅した元夫くん気付かれてしまった。

殺されると思った。

殺された方がマシな仕打ちを受けた。その後10年。

私は奴隷になった。


元夫くんは、浮気だ!と暴れ私を殴り物を壊し頭がおかしくなった。私は治療も止めさせられ、友達の連絡先も消され、携帯も全て管理下になった。

長時間の殴打で動かなくなった腕を病院で見せると、DVを疑われ通報の相談までされてしまった。


私は元夫くんに命以外の全てで謝罪した。後々書くが、内臓を引き摺り出されるより辛い報復を受け続けた。10年謝罪したが、一度浮気をしたらもう2度と許されることはない。それは何十回と浮気をされてきた私が一番よく知っている。

元々自己愛性人格障害でモラハラ傾向にあったが、この私の浮気をきっかけで傾向がはっきりとDVに変わった。それまで暴力は学生時代に一度受けただけだったが、タガが外れて平気で私を殴れるようになった。(でも殴打は何回かしか受けていないので大丈夫です)


私は強く深く反省した。そしてその浮気が弱みとなり、どんな要求にも応えなければいけない奴隷生活となり、DVが加速していく。


世間的には浮気と言える出来事ではないのかもしれない。各所様々な人に相談したが、全員がそれくらいで、と鼻で笑った。義母も。

でも大切なのは、された人がどう思うかで、本人が決めること。

元夫くんを相当深く傷つけたのだから立派な浮気だと思う。私は最低だ。

背景として浮気した理由を数回にかけて書いたが、言い訳のようで見苦しいと思う。

どんな理由があったとしても、してはいけないことはある。人を傷つけること、悲しませることだ。

そしてたった数秒で、一言で、それが人を殺してしまう凶器となる。

元夫くんは相当浮気して来たし、暴言や暴力も酷い。貧しく辛い暮らしだったけど、だからといってそれを理由に逃げてはいけない。

今の人生を選んだのは自分の責任で、全て自分の弱さが元凶だと今は思う。


これをきっかけに自分がされたくないことはしない、ことが私のモットーとなり、前向きに生きられるようになったが、元夫くんの苦しみ方は常軌を逸しており、彼は元から過去に執着体質だったが、より一層過去に生きるようになった。


二人の関係がより異常になっていった。



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