ソラリス
スタニスワフ・レム 著
殆ど宇宙ステーションの中だけで繰り広げられるというのに、なんて壮大なスケールを感じさせるんだろう。
私達人間は自分達サイズの物差しでのみ、対象を計測し、認識し、判断する。
地球外生命体に対しても、恐らく身近な他者に対しても。
それは測れるものなのか。
理解と誤解の境目はどこだろう。
理解とは幻想なのか? わからない。
でも愛は幻想ではないと思う、それは確かにあるのだと。
彼女からの手紙がせつない。
私達は物差しを手放さないのだろう、誤解を積み重ねるだけだとしても、でもいつか何かが生まれるかもしれない、この海から。
*
とにかく読んでいて面白かった。
赤と青のふたつの太陽を持つ惑星、ソラリス。
その海のなんて不思議な(人間目線で)ことか。
速物、長物、ミモイド、対象体、非対象体…
幻想的な描写、そして緻密な「ソラリス学」の面白さ。
神についての考察(ここは私にはうまく呑み込めなかった、でも興味深いです。またいずれ読み直したい)
レム凄い。
映画『惑星ソラリス』は、作者にとっては不満でも、純粋に映画としては私はあれはあれで面白かったです。
美しかったし、人間とは何かと考えさせられた。解説曰く、結論が正反対というのは…どうなんだろう…とも思うけど。
別の作品なんだということにする。『2001年宇宙の旅』だって原作と映画とで最後は違っていた。…いや、あれは表現の仕方が違うだけだったかな…?
私は映画→原作の順だったので、もう一度映画を観たいな。
先日のEテレの「100分de名著」のソラリスの回も録画済みなので、今度観てみようと思います