第55回木曽漆器祭 奈良井宿場祭 | 後藤茂之オフィシャルブログ「PEOPLE FIRST!」Powered by Ameba

第55回木曽漆器祭 奈良井宿場祭

1.6月8日、9日、初夏のさわやかな薫風が山の木々をゆらし、鳥がさえずる中、第55回木曽漆器祭、奈良井宿場祭が開かれました。本年は、1974年に『伝統的工芸品産業の振興に関する法律』(伝産法)が制定され、50年目にあたります。職人の高齢化に伴う後継者問題や原材料の枯渇問題など伝統的工芸品を取り巻く環境は厳しい状況にあるものの、(Japan)の美しさ、木のぬくもり、職人の伝統の技 等に対する評価は、日本国内に留まらず世界中で高まっていることはありがたいことだと思います。日本の伝統文化、伝統芸術を大切にしたいと思います。木曽路については、『木曽路はすべて山の中』というテーマで、日本遺産に先陣を切って認定されているところであり、森林文化、街道文化、伝統文化をますます発信していきたいと思います。

      

2.奈良井の宿場は、国の重要伝統的建造物群保存地区の横綱とも呼べるもので、文化財や古くからの建物が連なり、なおかつ現在も建物が皆使われているという意味でも、その素晴らしさは誰もが認めるところです。

 

3.一方、木曽平沢の宿場は、平成18年7月21日に、漆工町として国内初で唯一、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されたものです。当時、地元の強い要望で、重伝建の選定を受けるため、文化庁から担当者に来てもらった時には、建物文化財が少ない、江戸時代の出梁造だけではなく、大正時代から戦前にかけての建物が併存しているなどという理由で当初は難しいとの見解でした。そこで全国重伝建協議会顧問も務めていた立場からも知恵を出して、建物のみにこだわるのではなくそこで漆工という伝統産業が営まれてきたという町の特徴を一体として選定する重伝建の新しい類型を新たに作って、選定にこぎつけました。通りに面した主屋の背後に漆器生産のための建物が立ち並び、中でも漆器の生産を行う塗蔵(ぬりぐら)と呼ばれる土蔵造の建物が地区内に90棟以上現存しています。懐かしく当時を思い出しますが、これにより伝統的町並みの整備が進んでいます。

また、本年1月1日の能登半島地震で同じ輪島塗の産地が、見るも無残な打撃を受ける中で、早速に木曽漆器組合の皆様が御支援に立ち上がっていただけたことにも深く感謝申し上げます。