月例経済報告の基調判断を下方修正。 | 後藤茂之オフィシャルブログ「PEOPLE FIRST!」Powered by Ameba

月例経済報告の基調判断を下方修正。

1.2月の月例経済報告においては、基調判断を下方修正して「景気は、このところ足踏みもみられるが、緩やかに回復している」とされています。   

(注)先月の判断「景気は、このところ一部に足踏みもみられるが、緩やかに回復している。」

   

2.2023暦年のGDP成長率は実質で1.9%、名目で5.7%と高い伸びとなっており、名目成長率は1991年(6.5%)以来の水準となっています。2023年10-12月期のGDP成長率は、実質では前期比▲0.1%と2四半期連続のマイナスの一方、名目では同プラス0.3%と2四半期ぶりのプラスとなっています。名目GDPの実額は596兆円と過去最高を更新しています。実質GDP成長率の内訳をみると、外需はプラスに寄与した一方、個人消費は▲0.2%、設備投資は▲0.1%と3四半期連続のマイナスであり、内需の力強さが欠けている状態です。

  

3.個人消費は、サービス消費回復の一服に加え、物価上昇暖冬の影響もあり、半耐久財(衣服等)や非耐久財(食料品等)が減少しています。一方で、雇用環境の改善に加え、物価上昇の落ち着きにより消費者マインドは持ち直し、実質総雇用所得も持ち直しの動きが出ています。

 

4.消費者物価の前年比は、昨年1月のピーク時は、4.3%まで上昇しましたが、激変緩和措置もあり、足下は2%台で推移しています。財のうち食料品については昨年までの値上げラッシュが一服し、本年年明け後の値上げについては、原材料高騰を理由とする企業の割合が低下し、人件費の転嫁を理由とする割合が増加しています。

 

5.一般労働者の賃金1%台の上昇の一方、パート労働者の時給は、需給のひっ迫や最低賃金引上げもあり足下で4%まで上昇しています。2023年の一般労働者の賃金上昇率をみると若年層で高めとなっています。主要国やデフレ前の日本では、物価上昇と労働生産性向上が名目賃金上昇をけん引しています、今後、物価上昇を賃金に反映させ、物価に負けない名目賃金上昇率を実現、維持し、賃金と物価の好循環を実現するとともに労働生産性を高めていくことが重要です。