「中長期の経済財政に関する試算」について。
1.「中長期の経済財政に関する試算」が公表されました。経済の中長期的な展望については、
①ベースラインケース:全要素生産性(TFP)上昇率が直近の景気循環の平均並み(0.5%程度)で将来にわたって推移するシナリオ。中長期的に実質・名目0%台半ばの成長。
②成長実現ケース:TFP上昇率が、デフレ状況に入る前の期間 の平均1.4%程度まで高まるシナリオ。中長期的に実質2%程度、 名目3%程度の成長。
2.いずれのケースにおいても、2025年度に赤字が残るが、成長実現ケースでは、歳出効率化努力を継続した場合、2025年度のPB黒字化が視野に入ります。公債等残高対GDP比については、ベースラインケースでは、2020年代後半に上昇に転じ、成長実現ケースでは、PBが黒字化する中で徐々に低下する姿が示されました。
3.試算結果において2024年度から2025年度にかけて大幅にPBが改善していますが、足下の大幅な赤字については、
①2024年度には一時的に定額減税が実施されるほか
②累次の経済対策等に基づく感染症や物価高騰などの対応策と しての経済下支えのための支出も多いと考えられ、2024年度 までにこれらの歳出の大宗が執行されることが見込まれることから、試算ではPBが改善していく姿となっています。
4.「成長実現ケース」の経済を実現することは容易ではありませんが、過去の日本経済の実績を基に試算上で示された姿であり、その実現に向けて政策努力を重ねていくことが重要です。「新たなステージ」への移行に向けては、DXや新技術の社会実装、官民連携での投資拡大等によりイノベーションを創出し、その中で、生産性の向上と新たな需要の喚起を図る必要があります。まずは、「総合経済対策」の迅速かつ適切な執行と、来年度予算の早期成立を通じて経済財政運営に万全を期します。加えて、3年程度の変革期間において、日本経済をジャンプアップさせる制度・規制改革や官民連携の在り方等について更に検討していきます。