戦略分野国内生産促進税制を創設 | 後藤茂之オフィシャルブログ「PEOPLE FIRST!」Powered by Ameba

戦略分野国内生産促進税制を創設

1.民間として事業採算性に乗りにくいが、国として特段に戦略的な長期投資が不可欠となるGX・DX・経済安定保障の戦略分野における国内投資を集中的に促進するため、生産・販売量に比例して法人税額を控除する戦略分野国内生産促進税制を創設しました。措置期間を通じた控除上限は、既設の建屋等を含む生産設備全体の額とし、加えて各年度の控除上限を当期の法人税額の40%(半導体については20%)とした上で、対象物資毎に単価を設定【注】し、生産・販売量に比例した控除額を算定することとしています。

【注】対象物資・単位当たり控除額

EV等蓄電池〈EV(40万円/1台)、FCV(40万円/1台)、

軽EV・PHEV(20万円/1台)〉

 グリーンスチール(2万円/1トン)、グリーンケミカル(5万円/1トン)

 SAF(30円/1リットル)、半導体〈マイコン、アナログ〉(1.6万円/1枚等)

 

2.実はアメリカのIRA法案が経済再生大臣在任中の1年前に発表されました。40兆円にも及ぶ増税財源(Tax)を、海外のインセンティブ措置や労働単価などさまざまなコストを含めて、競争力を補填するための物資の単価を設定した上で、生産・販売量に応じて支払う(Credit)アメリカの助成措置の国内投資優遇効果の大きさを認識し、日本も国内投資を守るためには、補助金、税制の両面でイコールフッティングの成り立つ制度構築が必要と痛感しました。日本として経済対策や補正予算において追加の対応も行ってきたところです。

 

3.今回の戦略分野国内生産促進税制については、レガシー半導体を除いたGX関連の物資については、GX基金のGX移行債の発行収入(エネ特)の一般会計繰入で減収額を補填することにより、既存の税制と大きく異なる規模・期間、設備投資対象等の措置を実現しています。それでも日本やヨーロッパ等大陸法系の企業会計、税法制をもつ国では、アメリカのIRA法の助成の仕組みと同等の制度を税制度上作ることには限界はあります。必要があれば更に税制・補助金等全体で対抗できる措置を講じていくことも検討する必要があります。