イノベーションボックス税制の創設 | 後藤茂之オフィシャルブログ「PEOPLE FIRST!」Powered by Ameba

イノベーションボックス税制の創設

1.イノベーションについても国際競争が激化する中、わが国においても、研究開発拠点としての立地競争力を強化し、民間による無形資産投資を後押しすることが喫緊の課題となっています。こうした観点から、国内で自ら行う研究開発の成果として生まれた知的財産から生じる所得に対して、30%の所得控除(対象所得については法人実行税率が29.74%から約20%相当まで引き下がる税制優遇)を設けるイノベーションボックス税制を創設します。

 

2.本税制は、所得全体から、知的財産から生じる所得(譲渡所得、ライセンス所得)のみを切り出して税制優遇を行うという、わが国では初の税制です。国際的にみても、イノベーションボックス税制の創設はG7ではフランス、イギリスに次ぐ3番目であり、海外に遜色ない制度で無形資産投資を後押しします。

 

3.本税制の対処範囲については、イギリスの例のように税務当局との事前ネゴに基づいて知的財産から生じる売上についても含めるべきとの議論もありましたが、立証責任の所在等諸外国の税制執行体制(権限)の違い、体制面も含めた税務当局の執行可能性等の観点、国際ルールとの整合性の観点等から、状況に応じ見直しを検討することとします。執行できないものを税制として決めるわけにもいきません。

 

4.他方、本税制と一部目的が重複する研究開発税制については、研究開発費が減少した場合の控除率の引下げを段階的に実施【注】することにより投資を増加させるインセンティブをさらに強化するためのメリハリ付けを行います。途中、控除率引下げに加えて海外委託研究を除外することで財源手当てする議論もありましたが、研究開発割合の高い製薬などの一部の産業や一部の企業を直撃することとなり、控除率の引下げのみを行うこととしました。

【注】令和8年度  増減試験研究割合▲30.0%で控除率0%

   令和11年度 増減試験研究割合▲27.5%で控除率0%

   令和13年度 増減試験研究割合▲25.0%で控除率0%

となるよう増減試験研究割合±0%で8.5%から控除率を徐々 に引下げる。