構造的な賃上げをめざす6年度税制改正 | 後藤茂之オフィシャルブログ「PEOPLE FIRST!」Powered by Ameba

構造的な賃上げをめざす6年度税制改正

1.令和6年度税制改正では、岸田内閣で打ち出した『新しい資本主義』の趣旨に従い、まずは物価上昇を上回る賃金上昇の実現を最優先の課題としています。

 

2.【定額減税】所得税(3万円)、個人住民税(1万円)の定額減税を令和6年に一回限り実施し、賃金上昇と相まって、国民所得の伸びが物価上昇を上回る状況をつくり、デフレマインドの払拭と好循環の実現につなげていきます。合計所得金額1,805万円超(給与収入のみの場合、給与収入2,000万円超に相当)の高額所得者は対象外とします。

 

3.【賃上げ促進税制の強化】

① 2,000人超の大企業、2,000人以下の中堅企業について控除率の見直しを行うこととします。中小企業については賃上げの裾野を拡大するため新たに繰越控除制度を創設し、5年間という前例のない期間の繰越を認めることで赤字企業に対しても賃上げにチャレンジいただく後押しを行います。教育訓練費を増やす企業への上乗せ措置の要件を緩和するとともに、子育て両立支援や女性活躍支援に積極的な企業への上乗せ措置を創設することで合計税額控除率は大企業・中堅企業で35%、中小企業で45%に引き上がります。

② 一方で、賃金はそもそも全額が損金算入される中で、これに加えて賃上げ分の最大35%~45%を税額控除する本税制は、税制としては異例のものであり、デフレ経済の中で企業の内部留保(現金)を払い出させるために講じてきた緊急避難的措置であり、今後経済が好循環する中で見直しを検討していくことが必要になります。

 

4.【合併・事業譲渡による生産性向上を通じた中堅・中小企業の賃上げ】『新しい資本主義』による「成長と分配の好循環」の実現のために、労働分野では、三位一体の労働市場改革(①リスキリング②職務給③柔軟な労働移動)に加えて、企業側からの生産性向上のための構造的改革が必要です。このため中小企業事業再編投資損失準備金制度を拡充(①積立金を70%から最大100%、②措置期間を5年から10年)し、中堅・中小企業の従業員の雇用を確保しつつ成長分野への円滑な労働移動を確保します。

 

5.【生産性向上、省力化投資を支援】地域経済牽引事業の促進区域内において主務大臣の確認をうけた中堅企業の機械装置等の税制控除率の引上げ(6%)を行います。インフレ好循環経済の下では、生産性向上・省力化投資が賃上げ対策の基本です。経済再生大臣当時、経産省と連携して中堅企業(従業員2,000人以下)の概念を新たに作り、補正予算においても、大臣主導で3,000億円の補助金を決定しました。従業員2,000人は労働生産性が上昇から横ばいにかわる分岐点になるためです。