「こども未来戦略」における実質的な社会保険負担軽減効果 | 後藤茂之オフィシャルブログ「PEOPLE FIRST!」Powered by Ameba

「こども未来戦略」における実質的な社会保険負担軽減効果

1.高齢化等に伴い、医療・介護の給付の伸び保険枠の賦課ベースとなる雇用者報酬の伸びを上回っており、このギャップにより、医療・介護にかかる保険料率が上昇しています。(保険枠の増減額:【自然増は0.7兆円程度(6年度)】)。若者・子育て世帯の手取り所得を増やすためにも、歳出改革と賃上げにより、このギャップを縮小させ、保険料率の上昇を最大限抑制することを目指すことになります。

 

2.「こども未来戦略」において、「歳出改革賃上げによって実質的な社会保険負担軽減の効果を生じさせ、その範囲内で支援金制度(1.0兆円)を構築する」ことにより、加速化プランによる実質的な負担増が生じないようにすることとされています。(これまでも子育て政策に毎年平均0.19兆円を振りかえてきており、加速化プランの収入期間6年分で1.1兆円

 

3.この『実質的な社会保険負担軽減効果』については、毎年度の予算編成・制度改正による社会保険負担の増減効果を歳出改革による社会保険負担軽減額(薬価改定・薬価制度改革等【▲0.26兆円(6年度)】)から医療介護の制度改正による追加的な社会保険負担額(報酬改定【+0.30兆円(6年度)】)を控除して算定することが考えられます。

 

4.その際、政府による賃上げの取組により雇用者報酬の増加率が上昇することを通じて生じる社会保険負担軽減効果【注】も踏まえ、2023年度・2024年度においては、

① 【医療・介護の賃上げ対応分】報酬改定のうち、医療・介護の現場従事者の賃上げに確実に充当される加算措置であって、政府経済見通し等に照らして合理的に見込まれる一人当たり雇用者報酬の増加率の範囲内で措置されるものによって生じる追加的な社会保険負担【+0.21兆円】及び

② 【改革工程表に基づく制度改革による保険料上昇分】能力に応じた全世代の支え合いの観点から実施する『全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)』に基づく制度改革等((ⅰ)前期財政調整における報酬調整(1/3)の導入、及び(ⅱ)介護の第一号保険料のあり方の見直し)の結果として生じる追加的な社会保険負担【+0.04兆円】については、

追加的な社会保険負担額から控除することとします。

【注】賃上げによる保険料増(0.27兆円)=2022年度雇用報酬(296兆円)×2025年度の雇用者報酬の伸びの追加分(2年分で0.8%(0.4%×2)×   現行の被用者保険の保険料率(11.4%)

 

5.このような考え方で算出すると2023年度・2024年度における実質的な社会保険負担軽減効果は0.33兆円程度(2023年度0.15兆円、2024年度0.17兆円)となり、後4年で1.1兆円を目指します。