CPTPPへの英国加入交渉を振り返って。 | 後藤茂之オフィシャルブログ「PEOPLE FIRST!」Powered by Ameba

CPTPPへの英国加入交渉を振り返って。

1.CPTPPへの英国加入プロセスについては、日本が議長を務めるAWGのもと精力的に検討を進めてきましたが、7月の閣僚委員会までに議定書をまとめる上でデッドラインとなる3月31日のオンライン閣僚会合で実質妥結が得られました。

   

2.2月末にベトナムのフーコックで首席交渉官会議を開催する前の段階では、残された交渉項目が多すぎて、外務省等外交関係者も妥結を危ぶんでいた中、2月22日に急遽AWGのオンライン閣僚会合を開き、議長として事態の打開を試みました。会合では、議長である私より残された課題を大臣間の直接交渉にするものとそれ以外に二分し、①大臣間で決定することとしたものは、11人の大臣でしっかり決着させること、②それ以外は首席交渉官に交渉を基本的に任せることを提案し、11人の大臣の決意表明で会合が盛り上がったところで、その方針を実質的に確認することとしました。フーコック首席交渉官以下会合は、予定より長引きましたが、何とか合意を得ることができました。大臣間折衝については、各国の主張が本当に英国加入の実現と引き換えにするほどのものか議長より各国をただしたりもしました。

 

3. 数回に及ぶG7保健大臣会合、G20閣僚会合といった会議を除いて、これまで私自身外交交渉、各国間の大臣交渉の直接の経験はありませんでしたが、やはり個人間の信頼が大事だと痛感します。今回も、バイの会談やオンラインの会談で各大臣と意思の疎通を図ってきましたし、特に英国のベイデノック大臣とは何回かのオンライン、電話会談の後、1月18日のダボス会議出席の際に、直接面談をし、とても率直なやり取りの中でお互いの人柄や政治姿勢について信頼感を持てたことがその後の交渉には良かったと感じます。

 

4. 5月18日に、G7サミットで来日した英スナク首相から六本木ヒルズで開かれた日英ビジネスパートナーシップレセプションに、英国によれば日本の政府からはただ一人招待を受けました。スナク首相からは、スピーチの中で英国のCPTPP加入にあたっての日本及び後藤のCPTPPの実質交渉妥結への尽力に対する謝意が表されました。その際、スナク首相との間で短時間懇談も行いました。私にとっても良い経験となりました。