経済安全保障の課題。 | 後藤茂之オフィシャルブログ「PEOPLE FIRST!」Powered by Ameba

経済安全保障の課題。

『骨太2020年』においても、新たな世界秩序の下で活力ある日本経済を実現するために、価値観を共有する国々との連携を深め、経済安全保障のルールづくりを進めていくこととされています。4月には、 NSS(国家安全保障局)に経済班が発足し、日本においても急速に問題意識が高まる中、以下のような課題に早急に取り組むことが必要です

 

(1)情報流出防止、技術保全

①【非公開特許制度の創設】

特許情報の公開について国の安全保障上の非公開制度がないのはG20では日本とメキシコだけであり、早急に対応すべきです。

②【適格性評価制度(Security clearance制度)の創設】

情報漏洩の恐れがないと認められた人しか機密性の高い情報を閲覧できなくするセキュリティ・クリアランス制度がなければ、今後機微技術に関する国際共同開発研究からわが国は締め出されることになります

③【大学からの研究成果の流出防止】

例えば東北大学の多数の講座・プロジェクトへの外国企業による寄附、有名となった中国の『千人計画』による学者の引き抜き等、海外の企業に安全保障上の警戒のない日本の多くの大学から研究成果が持ち出されています。

 

(2)サイバー防衛

NIST(米国標準技術研究所)のガイドラインSP800-171と同等の  【サイバーセキュリティ基準】を定め、政府ばかりでなく民間においても政府の取り組みを参考にしていくことが必要です。

 

(3)買収防衛策・対日投資規制

①米国ではCFIUS(シフィウス対米外国投資委員会)が業種に限定なく過去まで遡って安保上の懸念がある企業買収や対米投資を阻止し、処罰することが可能です。日本については、業法で外資の市場参入規制はありますが、安保を理由の参入阻止規定はありません。本年6月7日施行の外為法の改正で外国企業の対日投資の事前届出基準が 「10%以上」から「1%以上」に拡大されましたが、日本でも【経済安保の包括的規定】をおく必要があるか検討が必要です。

②【金融機関からの通報制度】や中小企業防御のための資金援助のしくみの検討が必要です。

インテリジェンスを高めて【政府からの安全保障貿易管理上の通知】を民間に対して適確に行えば実効性を高めることにつながります。

 

(4)サプライチェーンの見直し

5G、海底ケーブル等の先端技術分野におけるサイバー攻撃や情報漏洩のリスクに対応し、【信頼のおける国内ベンダーの育成を図る制度】の構築も必要です。