検察官を含む国家公務員の定年延長法の成立見送りへ。 | 後藤茂之オフィシャルブログ「PEOPLE FIRST!」Powered by Ameba

検察官を含む国家公務員の定年延長法の成立見送りへ。

1.今回、検察官の定年延長等を含む国家公務員制度改正法の採決が見送りとなったことは、国民の理解が得られていない現状ではもっともなことと考えます

 

2.今回の法案は民間においても65才定年延長に向けて法制度の整備が進む中、一般の公務員の定年延長(60才→65才)と同時に、検察官についても定年延長(63才→65才)を行うとともに一般の公務員に合わせて、役職定年や特例規定を設ける法案です。検察官は、一つ一つの事案については職務の独立が求められてはいるものの、①行政職の公務員であり【三権分立からいえば「行政」であって「司法」ではない】、②内閣(検事総長、検事長)ないし、法相が任命権をもっていることからしても今回の提案が法制度上間違っているわけではないといえます。

 

3.しかしながら、この春黒川東京高検検事長の定年延長を国家公務員法の解釈変更により行ったこととあわせて、この改正には今後恣意的な検察人事を行なう意図があるのではないかとの批判が野党、マスコミ、検察関係者等から提起されました。安倍総理は、「恣意的人事を行うことはない。」と発言していますし、2022年4月施行の本法案の特例規定は黒川氏には適用になりませんが、黒川氏をめぐる議論や制度運用への不信から国民の理解が得られない以上法案を諦めることは当然のことです。その後黒川東京高検検事長が、賭け麻雀という違法行為を新型コロナウイルスによる外出自粛期間に行っていたことは、総理も任命責任を認められている通り、誠に遺憾なことであり、辞任は当然です。

 

4、行政権の一部である検察官については、

・政治に対する中立性と一定の緊張感が求められ、職務執行の独立性が求められている一方

・戦前の日本や世界各国で見られた検察の独走を防ぐための国民による民主的統制の必要性も指摘されます。

公務員の定年延長等は、現在の人生100年時代の流れの中で必要と考えますが、冷静な議論のできる時に改めて国会の審議を行うべきと考えます。