オープンイノベーション税制。 | 後藤茂之オフィシャルブログ「PEOPLE FIRST!」Powered by Ameba

オープンイノベーション税制。

1.既存企業が従前の閉鎖的でコストの高い自己開発にこだわることなく、出資、共同事業等のオープンイノベーションの手法を通じて自ら事業革新を進めることは、現在企業が生き残っていくためには必要不可欠といえます。今回、オープンイノベーションの方式の中から新しい技術・ノウハウ等を持つベンチャー企業に出資することで、ベンチャー企業と協働するものを重点的支援することとしました。

2.経産省は、過去に前例のない出資の一定額に税額控除を適用することを強く要望しました。一方で、出資という資本取引について、負債性もないのに税額控除を行うことは理論的にもあり得ないというのが主税局の主張でした。途中、準備金(課税繰り延べ)や損失が確定した段階でのみなし税額控除などの案も工夫されましたが、あくまで税額控除を主張する要望側と調整がつかない中、12月3日の税調インナーの席で甘利会長より幹事である私に、両者を調整して案をまとめるように指示が出ました。

3.改めて過去の例を調べてみると、東京湾横断道路(海ほたる)出資の一定額の所得控除を認める(但し、株式が譲渡されると取り戻し(益金算入)が期間制限なく適用)制度があることが判明し、それを軸に調整を行いました。そこで、経産省の主張に従って、特定期間内に出資した株式を処分等した場合のみ取り戻しを行う仕組みを設けるとともに、税額控除のかわりに所得控除(25%)とする極めて異例な措置ではありますが調整案を取りまとめました。

4.出し手の要件としては、①ベンチャー企業に直接またはCVCを通じて出資を行う国内事業者、②特定期間(5年間)中の報告義務。受け手の要件としては、①設立後10年未満の株式会社、②非上場企業、③大規模企業グループに属してないこと

5.適用用対象となるベンチャー企業の株式は、出資後に企業から提出を受けた資料を、経済産業省において確認し、出資した年及び特定期間(5年間)中経済産業大臣が革新性、リソース開放性、ビジネス変革性等の要件を証明したものに限ることとします。