ホワイト国からの除外とGSOMIA破棄 | 後藤茂之オフィシャルブログ「PEOPLE FIRST!」Powered by Ameba

ホワイト国からの除外とGSOMIA破棄

1.政府は下記二点の韓国向け輸出管理の運用見直しを行いました。

(1)【3品目の個別輸出許可への切替え。】

実際に不適切事案が発生し、7月4日よりフッ化ポリイミド、レジスト、フッ化水素を包括輸出制度から個別許可に変更しました。フッ化水素はサリンの原料ともなり得るものですが、半導体の原料として重要であり、劣化も早いことからサムソンも3か月程度しか在庫を持っていなかったため、韓国にも緊張が走ったと考えられます。ただし、日本政府は個別許可を出すことについては韓国に伝えており、レジストに続きフッ化水素についても個別許可を出す予定す。

(2)韓国のいわゆる「ホワイト国」(グループA)からの除外。】

キャッチオール規制を法制上持たず、154品目が中東に不適切に輸出されていた韓国を8月28日から一般包括適用国(ホワイト国)から外します。ただし、『一般包括』(国ごとの適用)でなくなっても『特別一般包括』(企業ごとの適用)の制度はあり、韓国に輸出している企業1000社のうち特別一般包括の許可が取れないものは 40社程度にすぎません。数週間かけて個別許可をとるまでもなく、実際上の影響はほとんどありません。韓国政府もそれをわかっていながら、感情的な対応に走っています。

2.韓国はヨーロッパ各国から「ホワイト国」の指定を受けているわけでもありません。日本からホワイト国をはずされて面子がつぶれたということでしょうが、武器・戦略物質の拡散防止のための本制度で日韓の信頼関係がなくなったことを理由に、安全保障上のGSOMIAを破棄する決定まで飛躍することは世界の非常識と言えます。アメリカが安全保障上の問題で同盟国に「不快」の立場を表明する例は他にはありません。韓国高官の「アメリカの了解をとった」とのウソに対しては、アメリカは正式に「了解をしていない」旨を即座に表明しました。

3.韓国政府にとって重大なのは以下の点です。

  ①康京和(カン・ギョンファ)外交部長官(大臣)が決定数時間前まで GSOMIA破棄を知らされていなかったこと、河野大臣が大臣会談で何を言っても、韓国の大統領府(青瓦台)には伝わっていなかったことなど『青瓦台』が孤立しています。

  ②側近のスキャンダルが奇しくも言われる中、選挙を前に米韓関係を犠牲にしてまで切った反日カードで国論を二分してしまった文在寅(ムン・ジェイン)政権は体制の危機にあります。

4.日本にとっては、GSOMIAが始まる2016年以前と同様にミサイル等の情報はアメリカから入手すれば問題はありませんが、アメリカも希望するように今後も隣国として日韓の会話を試みることは重要です