リニアルートにさらなる議論を | 後藤茂之オフィシャルブログ「PEOPLE FIRST!」Powered by Ameba

リニアルートにさらなる議論を

10月28日(木)②

 午後の地域の会合でリニアモーターカーについて、東京・名古屋間を直線で結ぶCルートが有力であるとの報道に対して、いろいろと意見がありました。確かにCルート(直線ルート)は、Bルート(伊那谷ルート)より総工費が7~8千億円は低いというメリットがありますし、現在東海道新幹線を保有し建設費の投資力のあるJR東海が推進していることで賛同者が多いことは事実です。しかし、従来は、国交省をはじめBルート(伊那谷ルート)を中心に議論を進めてきており、Cルートによる調査はここ数年来行なわれ始めたばかりなのだということも思いおこし、政治関係者特に長野をはじめとした沿線関係者には今や少数派かもしれませんが、しっかりとした議論を是非してほしいと思います。


①JR東海が「全額自費で作るから好きなルートで作りたい」というのなら、鉄道事業法にもとづく私鉄整備の許可を得れば出来ることなのに、あえて新幹線鉄道整備のための全幹法の許可を求めています。全幹法は、国土の均衡ある発展を目指すための新幹線ネットワークを人口密集地域に張ることを法律の目的としており、そのために国の費用の分担もなされているのです。そうであれば、長野県の人口集積地を通らず、10分強の違いで山の中を走り抜けていくルートが本当に法律の趣旨に沿うものか検討が必要です。


②当初JR東海は、東京・名古屋間の5兆円の建設費を自ら負担して東京ー名古屋間を作りたいといっていました。ところが、5兆円の投資の前提には、東京ー大阪間のリニアの完成を前提とした羽田ー大阪間の航空輸送からの振り替え分が入っているなど5兆円の計算の根拠が甘すぎるのではないかと指摘されてきました。現在は、9兆円で東京ー大阪間を全額自己投資でつくるとしているようですが、本当に採算は大丈夫なのでしょうか。ナショナルプロジェクトとして税金の投入は当然あってもよいのですが、甘い見積もりのつけをなし崩し的に国民にまわすような無責任なやり方は許されません。必要ならトータルプロジェクトとしてどれだけの国費を投入していくのか、正確な全体像を明示すべきです。


③JR東の運営している在来線(中央線)等についてはどう考えるのか。航空路線ネットワークとの関係をどう考えるか。交通インフラ基盤の広域的な経済的影響等もより綿密に検討すべきです。


 いずれにせよ、東海道新幹線が老朽化し、東海沖地震のリスクも考慮しなければならない時、技術的にも世界の最先端をゆく鉄道技術の花を開かせる夢の実現のためにもすばらしいプロジェクトだと思いますが、もっとしっかりとした議論が必要だと考えます。