これは、僕の愛用品のひとつ、フランス製 クロコダイルの長財布 にまつわる物語です。
 
 
 
ここには、未来の モノ作り と消費者 との関係を考えるヒントが隠されています。
 
 
なぜなら、これが僕という消費者の「ものがたり」だからです。
 
 
ですから、単なるモノ自慢ではありません。
 
 
或いは、日記のつもりでもありません。
 
 
 
モノ選びの動機には「作り手との想いの共有」という側面があります。
 
 
僕はそれをとても大切にし、生きてきました。
 
 
消耗品はさておき、価値あるモノ作りを志向するなら、これは、作り手のみなさまにとって、とても大切な視点だと思っています。
 
 
それを感じていただけたら嬉しく思います。
 
 
 
 
モノ作りとモノ選びの関係を、単に物質の調達・供給という側面だけをみてしまうのでは、高い価値の交換にはなりません。
 
 
そこには人と人の出逢いがある。想いを通わせる体感がある。愛用することを通して育む想いがあるはずです。
 
 
事実僕は、ひととの出会いの場を整えるコミュニケーションツールとしても、相手の方を尊重する意味でも、持ち物ひとつひとつを選び取っています。
 
 
伊勢丹駐在員としてパリで生活した3年間、そしてそこから関わったのが日本と世界の佳いモノたち。
 
 
そんな僕の愛用品の一部を時折ご紹介させていただきます。
 
 
その中で、僕が育んできた想いの一端を感じ取っていただくことがあれば幸いです。
 
 
 
 
 
 
〈フランソワ・レニエ / クロコダイルの長財布〉
 
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僕はこの財布を「道具的消耗品の対極にあるもの」とみています。
 
 
作り手は、フランソワ・レニエ氏。氏のアトリエを訪ねたのはパリ駐在の時。最初は全然別の商品を見に行く目的で訪問したところ・・・聞けば聞くほど驚きの事実を知ることになるのです。
 
 
フランソワ・レニエ氏は〈un jour un sac /アンジュール アンサック〉というカジュアルバッグコレクションのクリエイター。展示会会場では神経質そうな風貌とどこかおどけた態度の人物で、僕の中では「よくいるフランス人の営業の人」っていう軽い感じがファーストインプレッション。
 
 
ところが・・・本業は、クラシカルな財布やバッグだったんですね。それがアトリエを訪問して初めて分かったのでした。
 
 
 
 
実はフランソワ・レニエ氏はMOF(フランスの国家最優秀職人賞/Meilleur Ouvrier de France)を持つ名工であり、指導者だったのです!そして何と!エルメスの技術指導もしていたのでした。
 
 
そしてクラシカルなレザーグッズやバッグが最も好きなゾーンだということも、その時初めて知りました。
 
 
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写真ではわかりにくいのですが、これはレニエ氏に食い下がるようにして(笑)買わせていただいたマットクロコの長財布。グレーの色合いと斑(ふ)のサイズや揃い方、そして内側で使われているボックスカーフのしっとりとした質感やシボ感…素材を見ただけでも「さすがフランス」と唸ってしまうものでした。ミシンステッチングも究極を求め、拘りを語る時の氏のエネルギーに満ちた表情、それは今でも忘れられない思い出です。
 
 
そしてお値段は、販売価格にするとうん十万円になる代物ですが、どこかの舞台から飛び降りるかの勢いで購入したのでした。
 
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そんな財布には、単なる機能を超えた思い出や物語がたっくさん詰まっています。手にするもの自体には良いも悪いもないと思います。
 
でもしかし、大切にしたい「思い」がたくさん詰まったものもバランスよく採り入れていくのが素敵かなって思います。 
 
何故って、レニエさんの思いがあって、僕の思い出が出来た…そういうエネルギー交換を氏と交わしたことが素晴らしい経験になったし、その証としてあるこの財布は、とても大切に使っていきたいと思いが芽生え、それが15年たった今でも続いているのですから。
 
 
 
 
モノとひと、双方の価値向上。
 
 
グローバルな視点。
インターナショナルのビジネス実務経験。
最先端から現場まで。
そして、ヒトのマインドの使い方。
これを磨いてきたのが、私です。
 
 
私をパートナーとしてお選びくださるみなさまとの出会い、こころからお待ちしております。