ピアノの思い出 | From the beginning

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いつからでも再出発できる。離婚も幸せになるための通過点。目の前の小さな幸せを見つけていこう。

私は音楽が好きだけど、楽器の演奏は

できないし、歌うことは最も苦手。

兄はピアノがすごく上手で、

聞いただけでアレンジ付きで弾いていた。

だからピアノには憧れがある。

 

結婚して数ヶ月後、新卒で入社した会社を

退職した。

でも時間を持て余していたので、初めて

派遣社員として働いた。

 

そこで出会った女性がいる。

 

大企業の副社長の娘さんなんだけど

とてもサバサバしていて気持ちのいい人。

 

音大をでていて、学生時代には英語劇の

サークルに入っていたらしい。

今も活躍している女優さんや俳優さんが

当時の仲間だと言っていた。

 

彼女とはなんで気があったのか、

よくわからないけれど

頼れるお姉さん的存在だった。

 

子どもが生まれて、ピアノを習わせたいと

思ったのも、彼女の演奏を聴いたことで

動機が強まったと思う。

 

彼女に頼んで一緒にピアノを買いに行った。

彼女の見立てなら間違いない。

 

そのピアノで娘たちは毎日練習していた。

私は娘のピアノの音色を聴きながら

お昼寝するのが大好きだった。

 

横についてあーだこーだ言うのは

嫌だったから。笑

 

母親としてどうなの?と思うけど

幸せだったな。

 

彼女も結婚をして、私も子育てに忙しく

お付き合いは年賀状のやりとりだけに

なってしまった。

 

ある年に、喪中ハガキが届いた。

彼女が亡くなったという知らせ。

 

ありがとうの気持ち、

きちんと届けられないまま。

 

結婚をしてからどんな毎日を送って

いたのだろう?

 

もう一度聴きたかったな。

 

出会ってくださって

ありがとうございました。

あなたが大好きでした。

 

どうぞ届きますように。

 

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