5年前の春、Smile the First 開業を目前にしていた春。3歳の誕生日から5か月が過ぎた息子も保育園に入園しました。
当時まだ赤ちゃんぽさが残っていて、並んで立っても私の腰ぐらいの身長しかありませんでした。
入園式の朝、白いニットのカーディガンを着て、夫まさると手をつなぎ、横断歩道を意気揚揚と渡っていく息子の姿が、鮮明に記憶に残っています。
その30分後、親と離ればなれで別室に集められた年少児のなかで、息子は予想通り、不安をとおりこして、恐怖でいっぱいの顔で、真っ赤になって、涙と鼻水としゃっくりと、もうぐちゃぐちゃの泣き顔で号泣していました。てのひらを上にして、驚くほどの速さで手を握ったり開いたり、必死の形相で私たちに向かって手招きしながら、「ごっぢぎで~ ごっぢぎでええええ
(泣)」と目が合うたびに訴えるのでした。
正直言うと、ちらちらと心のなかで、(子供にこんな思いをさせてまでSmile the First やっていいのかな)と、理事長先生のご挨拶も上の空で、思っていたのです。せつなくて、ひとたび涙がこぼれると、もうとまらなくなって、嗚咽までもれそうで、情けない事に、まさるの後ろに隠れて式を見ていました。いまにも心が張り裂けそうでした。
明日も保育園にいかないといけないの?どうしていかないといけないの?と登園の前の晩から悲しい目で訴える息子。Smile the First にいるあいだにも、息子はいまごろ泣いているんだろうなあ、と思ったりしていました。
ちょうどそのころ、遠方に住むお孫さんの入園に、私と同じような気持ちになったというお客様が、教えてくださいました。「こちらがね、『だいじょうぶ、一日楽しく園で過ごしている』、って思えるようになったとき、子供も平気になれるものなんだ、ってわかったのよ」と。
なによりも、私の「だいじょうぶかな、泣かないかな、離れられるかな」そんなふうに思っている気持ちが、子供を不安にさせていたのです。隠していても、「思っている」だけで、伝わってしまうものなんだなあと思いました。お客様からのお話をきいて、ああ、そのとおりだな、と思いました。
お客様とお話して、ほどなく、息子は泣いて登園することがなくなりました。
子供がなにかを乗り越えるとき、不安を笑いとばして勇気づけてやれる、強くて優しい母になりたいと思いました。
言葉だけじゃなくて、心から「だいじょうぶ。きっとできるようになるよ」と、わが子の力を信じきると、それはちゃんと伝わって、自分も子も乗り越えていけるようになるのだと思います。
だいじょうぶ