あせらずのんびり行きましょう~甲状腺腫瘍闘病記(仮)~

あせらずのんびり行きましょう~甲状腺腫瘍闘病記(仮)~

平成25年7月、23歳の時に甲状腺腫瘍が見つかり、24歳で葉切除術を受けました。
現在病理検査の結果待ちです。
私の体験が少しでも同じ病気の方の参考になればと思い、始まったばかりの闘病記録、日々の出来事などのんびり書き綴っていこうと思います。

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自宅に帰宅する。


そのままベッドに直行する。




何もしたくない。

その時の私の正直な気持ち・・・




エコー検査があるからとその日は昼ご飯を食べなかった。

食い意地だけは誰にも負けない私。

だけどこのときばっかりは食欲が湧かなかった。



「おそらく良性腫瘍だから…」

K先生はそう言っていた。


でも「恐らく」なんでしょ?

100%良性ではないんでしょ?

もしかしたら悪性の可能性もあるんでしょ?



K先生のことを信用していないわけではない。


インターネットでも調べた。

「甲状腺腫瘍のほとんどが良性腫瘍。しかし、エコー上良性腫瘍だと思われる場合でも、何パーセントかの確率で悪性の場合がある」

先生の言っていたことに間違いはない。



ほとんどは良性腫瘍。

でももし自分がその何パーセントのうちに自分が入ってしまったら…

と考えると本当に怖くなった。



どうしよう。

なんでこんなことになってしまったんだろう。


この時の私の頭の中は負のループに完全に陥ってしまっていた。


エコー検査で予想だにしていなかった『甲状腺腫瘍』という結果がでた。

会計を待つ私は明らかに動揺していた。

(腫瘍。恐らく良性だが悪性の可能性も否定できない。手術するかしないかは任せる)

K先生の言葉が頭のなかでループしていた。

悶々としながら待っていると携帯が震えた。

検査の結果を心配した母からだった。

本当は病院内での通話はいけないと分かっていたが、その時の私は誰かにこの不安を聞いてもらいたかった。

人気の無いところに移動し電話に出る。

私:もしもし。

母:もしもし!?○○(私の名前)??もう、何で早く連絡よこさないの!!

私:…うん。ごめん。今検査と診察終わったんだ…。

母:随分かかったんだね~。で、どうだったの!?なんともなかったの??

私:……。(涙)

不安と恐怖、そして母の声を聞いて安心したからか涙がこぼれた。

一向に話さない私と、すすり泣く声が電話越しに聞こえたのか、

母:……もしかして、何か見つかったの??

と心配そうな母。

私:実はね………。

これ以上母を心配させてはいけない。恐らくこの事を話せば心配をかけることは間違いないが、とにかくK先生に言われたこと、そのまま覚えてる限り話した。

話が終わり母は電話越しに驚いているようだった(そりゃそうだ)

ただ、最後に

母:心配しなくて大丈夫。きっと大丈夫だから。これからどうするかは家に着いてからゆっくり話そう。だからとりあえず今は家に帰ってゆっくり休みなさい。
何かあったらすぐ電話するんだよ。

私:…うん。分かった。

母の言葉に涙が溢れた。

いつからか人前で泣くことを恥ずかしいと思うようになり、めったに人前では泣かない私。だけどこのときばかりは人の目を気にすることなく号泣してしまった。

なんで私なんだろう。

大学を卒業して、国家試験に合格して念願の看護師になった。
働きはじめてまだ1年とちょっと。
まだ23年しか生きてないけど、私何か悪いことしたのかな?
このときばかりはいるかどうかもわからない神様を恨んだ。


内科外来に戻り、検査が終わったことを看護師さんに伝える。

順番が回ってきたら呼ぶといわれたので、椅子に座り待つことに・・・。


30分ほど待った時名前を呼ばれた。

そして診察室へ入る。


中にはほわーっとした感じの先生が。

(これがK先生かぁ~、なんかお母さんって感じ)

ちなみにこのK先生、私の母もお世話になっている。



K先生:遅くなってしまいすいません。検査の結果がなかなか出なかったので…


私:大丈夫です。


K先生:本当にごめんなさいね。あら~、確かに首腫れてるね。


私:そうなんです。



なんて前回の受診の時にも話したようなことを話してから、さっそく本題の検査結果の報告へ。



K先生:じゃあ、検査の結果ですが…単刀直入に言うと、左の甲状腺に腫瘍があります。


私:・・・・・・え!?腫瘍ですか!? (腫瘍…私、もしかして癌!?


先生からのあまりの衝撃的な事実を告げられ、私の頭の中は真っ白になってしまった。



とりあえず説明の中で覚えていたことは


・左の甲状腺に腫瘍があること

・大きさが約3.6cmあること

・エコーで見た感じ恐らく良性だが、完全に良性とは断言できないということ

・一応この病院では良性でも3cm以上から手術適応としていること

5cm以上であればすぐ手術だが、3.6cmなのでやるかやらないかは自分で決めてもらっていいということ

・もし手術するならば外科紹介になるということ


その後もK先生は画像を見せながら説明をしてくださったが、途切れ途切れにしか覚えていない。



私自身、職場で主治医が患者さんへ病状説明をするところに立ち会う機会がある。

そして説明後、患者さんから「頭ん中が真っ白になっちゃってよく分かんなかった」と言われることがある。


患者さんの言っていた「頭の中が真っ白になる」ってこういうことなんだ…

と身にしみて感じた。


とりあえずK先生には私1人では決められないので、家族と相談してまた受診すると伝え帰宅した。
























翌週、午後からエコー検査&K先生の受診のために再び病院へ。

受付を済ませ、生理検査室へ。

そこでも受付をし、時間まで待つように言われる。



予約していた時間になり、名前を呼ばれエコー室へ。

先週、先生には「エコー検査自体は痛みもないし、30分もかからないと思うよ。」と説明されていた。

指示通りにベッドに横になる。あとは検査技師さんにお任せ。(笑)

首にゼリーを塗り、プローベでグリグリ。時々「息を止めて」とか「首を反らして」など言われ大変だった。

が、そんなことをやっているうちにあることに気付く。

もう30分経ってない?

時間を確認しようにも部屋には時計がない。

もしかしたらどこかにあったのかも知れないが、検査をしていて横を向いたりできない。

真剣に画面を見て機械を操作し検査をしている技師さんに「今何時ですか?」なんて聞けない(とその時の私は思っていた)。

そして、よく考えると首の右側はすぐ終わったのに腫れている左側はなかなか終わらない。

なにかあるのかも知れない…

なんとなくそう思った。

そんなことを悶々と考えながら、なかなか終わらない検査を受けた。

そしてやっと検査終了。

横になっていただけなのに凄い疲労感…

「検査結果は外来に回すので戻ってもらって構わないです」

と技師さんに言われたので、内科外来へ戻ることに。

ふと時計が目に入ったので時間を確認。

検査をするために部屋に入ってから1時間以上経っていた。


外来の看護師さんに案内され、採血室へ。

ちょうどピークの時間帯だったのか、採血室は患者さんで溢れかえっていた。


とりあえず、受付をして自分の順番が来るまで控室で待つことに…


10分程待った頃、私の順番が回ってきた。


「では採血しますね。好きな方の腕出してください。」

と、採血室のスタッフ。


とりあえず、利き腕とは反対の腕を出してみる。

駆血して血管を探すスタッフ。


「よし、ここで行きましょう。」

と、言われそこからは流石プロ。あれよあれよと消毒し採血。

5本分血液を採り終了。


「結果が出るまで時間がかかるのであとは外来でお待ちください。」

と説明され、内科外来へ戻った。




1時間ほど経ち、自分の名前が呼ばれた。

中に入ると先ほどの医師。


Dr.:採決結果が出ました。えっとね~、とりあえず採血データ的には異常がありませんでした。


私:え!?


Dr.:これ見てください。これが甲状腺に関する項目の結果なんだけど…

   高くもないし、低くもないんだよね…いたって正常です。


  

パソコンに表示されている私の採血データを見ながら説明を受ける。

確かに異常値ではない。(各検査項目が基準値より高値だと赤、低値だと青で表示される)


ちなみにその時の採血データがこちら。(※基準値は各医療機関の検査方法で若干異なります)

TSH:0.537 (基準値:0.4~4.0)

FT4:1.55 (基準値:0.9~1.8)

FT3:2.43 (基準値:2.4~4.3)

抗サイクログロブリン抗体:陰性

抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体:陰性


採血結果で、ホルモンの異常はない。つまり、甲状腺機能亢進症・低下症ではないということ。

では一体この腫れは何…!?

異常がないと分かり、安心した反面、不安も生まれた。


私:じゃあ、なんで腫れてるんですか・・・?


Dr.:採血データは確かに問題ないけれど、まれにホルモン異常が潜んでいる可能性はあります(「潜在的甲状腺機能亢進症」というらしい)。だけど、甲状腺が腫れているのは間違いないから、その腫れが何なのか詳しく調べましょう。○曜日は甲状腺専門の先生(以下K先生としましょう)が外来をしているから、その先生に紹介します。


私も原因が分からないまま終わりにするのは怖かったので、そのK先生に紹介してもらうことに。

自分の仕事のシフトを確認し、翌週のK先生の診察日に予約と、同じ日にエコー検査の予定を入れ、その日は帰宅した。




再度病院に戻り、内科受付へ。
初診のため問診票を記入して待つことに。


書いている間に診察開始になり早々に名前を呼ばれ中へ。
結構若めの今時風な雰囲気を醸し出している先生だった。(笑)
そして早速診察。

Dr.:あ、どうもー。えーっと…(問診票を見て)首が腫れてるって?

私:よくわからないんですけど、そんな気がするんです。

Dr.:そっかぁ~。じゃあ、ちょっとごめんね。(触診)
あぁ~、確かに腫れてるね…。左側が腫れてるってこれ(問診票)には書いてあるけど、恐らく右も腫れてると思うよ。

私:え!?右もですか!?

Dr.:うん。まぁ、左ほどではないけどね…

左だけ腫れてると思っていたのにまさかの右も腫れていると言われかなり動揺する私。

Dr.:ここ何ヵ月かすごく疲れたり眠れなかったり、動悸がしたりしたことない?

私:動悸は感じたことないですけど、疲れと眠れないのはありますね…仕事が仕事なので…苦笑

Dr.:体重減ったりとかは?

私:今年の頭に体調崩してから結構痩せました。

Dr.:手の震えなんかは気になったことある?

私:気になったことはないですかね…

Dr.:ちょっと手出してみて。(指示のとおり手を出す私)
……完全に震えてるね…

私:(え!?)

Dr.:とりあえず、見た感じバセドウ病の疑いがあります。年齢も年齢だし、全部ではないにしろ症状が出てるから血液検査しましょう。

私:はぁ、はい。


ということで、あれよあれよと血液検査を受けることになった。
受診のため朝6時に起き、近くのかかりつけの総合病院へ。

7時30分から受付開始のため、余裕を持って7時頃病院に到着。
が、もう何十人もの受付待ちの方が…焦

受付事務の方から受付順番の札をもらう。
なんと60番台。

1番の札を貰う人は一体何時から待っているのだろう…
1日の外来患者が1300人を越える病院は患者のレベルも違うと思った。



7時30分になり受付開始。
私の前に最低60人は並んでおり、受診予定の科も内科とかなりメジャーのため、どのくらいで診て貰えるか心配だったが、受付してみると『内科2番』と、かなり早い番号。

外来診察開始が9時なのでとりあえず一旦自宅へ戻ることにした。




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連休1日目。

世間は連休1日目だが、私は仕事。しかもまさかの準夜勤。


本当であれば仕事を一番に考えなければならないのだろうが、残念ながら私の頭の中は「仕事<甲状腺」だった。


出勤すると、ちょうど職場の科長も夜間責任者で出勤していたため、来週急遽で病院を受診したいので休みが欲しいと相談。


「行っといで。」


と、なんともあっさり許可が下りた。



連休2日目。

本日から私も世間と1日ずれて連休。

実家から母と妹が泊りがけで遊びに来た。


来てすぐ母に、

「ねぇ、私のここ(首)腫れてない?」

と聞く。


すると母は一瞬にして顔が青ざめ、

「それ、甲状腺じゃないの…?」と。


実は私の母、何年か前に検査でたまたま甲状腺に嚢胞があることが分かり、1年に1回定期的に病院で検査を受けていた。そして、変わりがないからとつい先日定期検査の間隔が1年半に延びたところだった。



だからすぐ分かったのか……

なんて妙に納得していると、

「その腫れは異常だから今すぐ病院に行きなさい!!」と、私より母がパニックに。


とりあえず今日明日は病院が休みだから連休明けにすぐ受診すると話し、納得してもらう。



ただ後から話を聞いたところによると、母は「悪い病気なんじゃないか」と心配で仕方がなかったそう。

確かに最後に会った時はなんともなかったのに、次に会いにきたら首が腫れていたら誰だって心配するよね…と今冷静になってみて思った。


連休3日目。

とりあえず、首の腫れは忘れて休みを楽しむ…ことにしたような気がする(←曖昧)。

ただ、母が帰り際に「絶対明日病院に行きなさいよ!!そして結果必ず連絡しなさい!!」とかなり念を押して帰っていった。


明日は病院に予約なしで受診のため、朝早くに行かなければならない(早く受付をしないと患者さんがいっぱいで診てもらえない可能性もある病院な)ので今日は早めに就寝。



職業柄、医学関係の本を持っているためとりあえず調べてみることに…

学校を卒業して以来、片手で収まるほどしかお世話になることなく本棚にしまわれていた解剖学の本を引っ張り出し、頸部付近のことが載っているページを開いてみる。


が、しかしよく分からない。

学生時代もっとまじめに解剖勉強しておけばよかった…と後悔し、他の医学書を見ようと本を閉じようをしたとき、あるページに目が留まった。


「内分泌系」


そしてある臓器にたどり着いた。


甲状腺……



え…。私、甲状腺が腫れてるの?



そこからは医療関係者の血が騒いだのと、少しでも自分の今の状況が知りたくて、いろんな本を引っ張り出し甲状腺について調べた。


甲状腺機能亢進症(バセドウ病)、甲状腺機能低下症(橋本病)、甲状腺炎、そして甲状腺腫瘍……


各疾患で出現する症状なども見てみたが、極度の動揺、そして不安からかみんな当てはまるような気がしてしまう…


そしてある答えにたどり着く。



「病院に行って診てもらおう…」



しかし不幸なことに明日から世間は3連休…

最短で受診しても来週の火曜まで病院に行けない。



不安を抱えながらの3日間が始まった。



初めて自分の身体の異変に気づいたのは7月の中頃だったと思う。

仕事から帰宅してシャワーを浴びようと脱衣所に立ち、ふと鏡を見た。


「あれ?」


首、詳しく言うと首の左側がなんとなく腫れているような気がした。


リンパ節でも腫れているのか…?と思い、とりあえず触ってみる。

が、痛みもないしいまいちよく分からない。


けれどものを飲み込みこむような動きをすると、嚥下運動と一緒にそのできものが動いた。


「私の首に何かある・・・」

それだけは分かった。