長い目でバイリンガル育児を考えたとき、
強い味方となるものは何だと思いますか?
語りかけ、動画、英語サークル、英語教室、
オンラインレッスン…
さまざまな要素があると思いますが、
幼児期以降、
特に強い要素になると思うのが
憧れの気持ち。
お友達に対してだったり、
テレビや映画に出てくるキャラクターに対してだったり、
誰かに対して抱く憧れの気持ちです。
これはアイデンティティとも関係しています。
アイデンティティとは
単純に「自分が何者か」ということだけではなく、
自分がどうなりたいか(どうありたいか)
を意味すると言われています(Norton, 1997)。
つまり近い誰かに対して
「この人、すごいな。わたしも こうなりたいな」
という憧れの気持ちを抱くことで
次のアクションに繋がる
モチベーションの源となるのです。
そしてアイデンティティとは
固定したものではなく、
動的に変わるもの。
一年前のアイデンティティと
今のアイデンティティでは
同じとは限らない。
上で「幼児期以降」と書いたのは、
幼児期は、
もちろんお友達の影響はありますが、
スクールやサークルなど
先生の影響だったり、
親からの影響の方が大きいから。
親が言語環境を整え、
子どもが英語に対して
心地よく感じられるように
動機付けをする。
でも幼少期以降は、
親よりも お友達だったり、
少し年上のお友達や
憧れの存在からの影響の方が
大きくなる場合が
多いんじゃないでしょうか。
これは、子どもの「こうなりたい」という
未来の自分に対する期待から来るもの。
例えば、憧れる相手だったり
大好きなお友達が、
難しい本を読んでいたり、
流暢に英語を話していたり、
上手に文章を書いていたりしたら、
自分もそうなりたいから
自発的に時間を投資するようになる。
いつもよりたくさん本を読んでみたり、
英語をもっと話してみようと思ったり、
何かを英語で書いてみたいと思ったり、
今までよりも
多くの時間を投資して
その先の「未来の自分の理想像」に
近づこうとするのではないでしょうか。
そういう意味で、
英語を話す仲間だったり
憧れの相手がいるというのは
とても良いことなのです
大事なのは、
これが後ろ向きの憧れではいけないということ。
「この子はすごいな。でもどうせ私は…」となっては逆効果。
周りから後ろ向きの感情を
植え付けられるものであってもいけない。
だからこそ親の姿勢も大切なのです。
周りが、
「○○ちゃんはペラペラで上手だね。
△△ちゃんも もっと練習しないと」
なんていう比較をしてしまえば、
子どもも後ろ向きの気持ちに
なってしまうかもしれない。
子ども自身が落ち込んでいるのなら、
今その子が出来ていることを
褒めればいいと思うのです。
「△△ちゃんは
ここまで出来るようになったね。」
というように、
子どもが今できていることに注目し、
そこから伸ばそうとすれば、
後ろ向きになることなく
自分のペースで進むことができる。
大事なのは、誰かに憧れるという感情が
子ども自身から生まれること。
周りの大人は、
「あの子はもう読み書きもできるからすごい」とか
「英語ネイティヴはすごい」とか
優劣を感じさせるような発言を
しないよう見守るだけ。
子どもの
健全な憧れやライバル心は
バイリンガル育児の強い味方。
そのためにも、
決まった相手とのプレイデートで
切磋琢磨できる仲間を見つけたり、
スクールやサークルで
同じ顔ぶれで影響し合ったりするのは、
バイリンガル育児を続けるためにも
大切なことだと思っています。
(参考文献)
Norton, B. (1997). Language, identity, and the ownership of English. TESOL Quarterly, 31(3), pp. 409-429.
アイデンティティとモチベーションに関する
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