「伝統は時代に受け入れられないと消えてしまう」
数年前、ある伝統工芸士の方がテレビで仰っていた言葉です。
私はこの言葉を聞いた時、まさに日本人にとっての着物のことを言っているように感じました。
着物は日本人がこれからも守っていくべき、伝統ある衣服だと思っています。そしてその伝統は、次の世代へ継承していかなければならないと思います。
でもそれ以前に、人々に忘れ去られ、消えてしまっては、元も子もないのです。
私はこのブログで、着物は文字通り「着る物」であり、ファッションとして楽しんでいいと思う、と書いています
でも、今はそんな風に書いている私でも、伊達衿や帯揚にレースのフリルがついているのを初めて見た時には
「えっ
」・・・と思ったし


次女の成人式の会場で、肩まで出すほど衣紋を抜いて振袖を着ている子を見た時には
「そんな風に肩を出したいなら、振袖でなくてもイブニングドレスを着ればいいのでは・・・
」

と、思ったのも事実です



でも今は、そういう着こなしだとしても、その子が「成人式に振袖を着る」という選択をしてくれてよかったなあ・・・と思うのです

次女の振袖はこんな感じ。逆にもっと衣紋を抜いてもよかったかな

このブログでは私が普段着の着物を推奨するあまり、読む人には礼装の着物を否定しているように感じられるかもしれませんが、そんなことは全くなくて、むしろ
「成人式には振袖」とか、
「結婚式で新郎新婦の母は留袖」
という慣習こそ、現代まで和服が残ってくれた理由の一つなのではないか・・・と、思っています

だから、そういった慣習はずっと続いて欲しいし、伝統は大切に守られるべきです。
でもそれだけではなくて、ファッションとして時代の流れに乗っていく部分も、必要なのではないかな・・・。
振袖以外にも、夏には浴衣でお祭りや花火大会というのも、ずっと続いて欲しい日本の風物詩ですね
最近はペアで浴衣姿というのも、よく見かけます(コロナ禍で昨年は見られず、今年も難しそうですが
)。
以前のブログ 日本人の伝達遺伝子 でも書きましたが、やっぱり日本人って、着物が好きなんだと思うのです
伝統を継承しつつ、けれど柔軟に流行に乗る部分も持ち合わせつつ、着物がこの先何百年も人々に着られ続けますように・・・