Joshua Higuchi著『ベテルギウス』を読みました。著者は物理学を学んだ人です。著者が考えていることを小説というかたちで発表したという意味で、フレッド・ホイルの『暗黒星雲』を思い出します。

 

 オリオン座のα星ベテルギウスが超新星爆発をする、という男を中心とした会話から成り立っている小説です。1冊の単行本として出版されていますが、短編ほどの長さです。

 

 ベテルギウスが超新星爆発を起こすとガンマ線が地球に降り注ぎ、人類は死滅してしまうかもしれない。そのときに起こるであろうパニックを、著者が経験したという東日本大震災の要素と交えて描いています。

 

 数式も多少出てきますが、素人でも楽しめる内容です。カミネカンデ(カミオカンデのこと)とか東京の地下にある巨大空間などの実在の施設も取り込んでいます。これにさらに都市伝説も絡んできます。

 

 小粒ですが楽しめます。なにより勉強になるし、ベテルギウスの超新星爆発はいずれ必ず起きるそうです。