ジャン・ボームガルテン著『イディッシュ語』(文庫クセジュ)を読みました。

 

 イディッシュ語はユダヤ人たちの言葉です。ユダヤ人の言葉というとヘブライ語がありますが、それにドイツ語など様々な言語が混じりできた言葉のようです。特にナチスによるホロコーストを経て、イディッシュ語をハンス人は激減したそうです。この言語を守らなければならない、というのが本書執筆の一つの動機です。

 

 著者は冒頭で、イディッシュ語が理解されていないと述べています。イスラエル建国でもって注目されるようになったが、真にこの言葉を理解している人は少ないそうです。ドイツ語の一方言とも言われます。ユダヤ人の苦難の歴史を象徴するような言語です。

 

 本書は文法書ではなく、イディッシュ語の歴史を中心としたイディッシュ語そのものについての解説から始まり、イディッシュ文学、そしてイディッシュ語を用いた文化について語っています。

 

 1章は言語学の性格が強く、イディッシュ語がどのような言語との混交を経て生まれたのかを解説しているのですが、私にはハードルが高い章でした。2章の文学の章も、私の知っているような作家はほぼ登場しませんでした。それだけ、イディッシュ文学の日本への紹介は遅れているのだと思います。3章は現代のイディッシュ語についてで、政治におけるイディッシュ語、教育におけるイディッシュ語などを語っています。

 

 100ページちょっとの薄い本で、イディッシュ語の入門と言った感じの本です。ヨーロッパ言語―とりわけドイツ近辺の―についての知識があった方が読みやすいと思われます。