ラテン語さんの『世界はラテン語でできている』を読みました。著者の名前がふざけていると思われるかもしれませんが、内容はしっかりしていて、面白いし勉強になります。

 

 ラテン語は一般に死語と考えられていますが、著者はラテン語は生きているという立場です。ラテン語の直接の子孫といえるロマンス語(フランス語やイタリア語、スペイン語など)はもちろん、英語、そして日本語にもラテン語は溢れていると主張し、それを多数の実例をあげて説明しています。

 

 というわけで、身近な言葉が実はラテン語、あるいはラテン語起源である、という語源についての本です。ラテン語と世界史、政治、宗教、科学、現代、日本と章割りしています。

 

 例えば、東京ディズニーランドにはラテン語が溢れています。英語のmuscleはもちろん「筋肉」の意味ですが、ラテン語の元の意味は「小さなネズミ」だそうです。これは力こぶが小さなネズミに似ているからだそうです。ラテン語のndという語尾は「されるべき」という意味だそうで、女性名Amandaは「愛されるべき人」、legend(伝説)は「読まれるべきもの」という意味だそうです。「メルカリ」はラテン語で「取引する」の意味。スポーツ用品メーカーのASICSは「健全な肉体に健全な魂」の意味。こんな感じの話のネタになるような知識が満載です。

 

 巻末には『テルマエ・ロマエ』で知られる漫画家、ヤマザキマリさんとの対談が収録されています。

 

 タイトルに偽りなく、私たちは知らぬ間にラテン語に触れているようです。ひじょうに面白く、勉強になる本で、一日で読み終わりました。売れているというのも納得の出来です。