ナット・セガロフ著『「エクソシスト」の遺産』を読みました。

 

 ホラー映画の金字塔『エクソシスト』は私も大好きな映画です。『エクソシスト』の研究本は多々ありますが、本書もひじょうに充実した内容で、映画ファンの人は必読かと思います。

 

 まず、原作のウィリアム・ピーター・ブラッティと、監督のウィリアム・フリードキンの出会いから始まります、この二人のぶつかり合いから映画は作り出されました。2章が物語にヒントを与えたとされる実際の事件について。3章がブラッティの原作小説について。

 

 そして、4章以降、映画の制作についての話になります。ブラッティがこの作品で何を伝えたかったのか。フリードキンはいかに演出したのか。キャストはどのように選ばれたのか。音楽はいかに決められたのか。(私はマイク・オールフィールドの「Tubular Bells」が大好きです。)本作の特徴はドキュメンタリー性にあり、つまりリアリティにあると著者はしています。従って、ホラーというよりもサスペンス、ミステリーという評価もあるようです。

 

 この映画には様々なヴァージョンがあり、劇場公開時には削除されていた、いわゆる「スパイダー・ウォーク」のシーンについてなど、各ヴァージョンの比較も詳しく行われています。

 

 中盤以降は続編―『エクソシスト2』、ブラッティ自身が監督した『エクソシスト3』、『エクソシスト ビギニング』、テレビ・シリーズらも検討されています。特にジョン・ブアマン監督による『2』は公開当時から評判が悪く、本書でも酷評されていますが、個人的には結構好きです。総じて、続編には手厳しくなっていますが、『1』がすごすぎたため、それとの比較という視点で見てしまえば、出来が悪い、とならざるを得ないようです。