『新潮日本美術文庫 喜多川歌麿』を読みました。このシリーズは古書店で安く売っているのを見つけたら購入するようにしています。

 

 歌麿はいうまでもなく浮世絵の大家で、国際的に有名な画家です。本書は33点の歌麿作品をカラーで収録していますが、結構な作品が海外の美術館の所蔵です。

 

 歌麿と言えば美人画で、本書に収録された作品もほぼすべて美人画です。特に、美人の大首絵が有名ですが、本書にも何点か収録されています。「寛政の三美人」を描いた作品などです。髪の毛の描き方などに特徴を感じますが、女性の長い髪がまるで生きているようで、少々不気味な感じももちました。

 

 美人画は今日のグラビアみたいなものでしょうが、背景に注目すると意外に演出もされているようで、物語を含む絵もあります。そのあたりは各作品に付された解説で説明されています。

 

 また、歌麿には少々淫靡なイメージもあります。いわゆる春画も2点収録されています。一方、最も有名と思われる『ポッピンを吹く女』はなぜか収録されていません。個人的には『納涼美人図』が好きです。