ジェニファー・ライト著『史上最悪の破局を迎えた13の恋の物語』を読んだ。著者はジャーナリストです。

 

 欧米の歴史上、最悪の破局を迎えた(the worst breakups in history)と著者が考える13の恋愛を語った本です。最初がローマ皇帝ネロとポッパペアで、最後がデビー・レイノルズとエディー・フィッシャーとエリザベス・テイラーで、時代順に章が並んでいます。

 

 個人的に興味があるのはオスカー・ワイルドとアルフレッド・ダグラスの章です。二人は同性愛関係で、愛憎半ばする激しい関係であったようです。結局、ワイルドは同性愛の罪で有罪となり、刑務所行きになりました。

 

 また、美術研究家ジョン・ラスキンとその妻エフィ―の関係も興味があります。エフィ―はラスキンと離婚後、『オフィーリア』で有名なジョン・E・ミレイと再婚します。ラスキンとエフィ―が離婚した理由は様々言われていて、はっきりしません。ラスキンは結婚するまで女性の裸を見たことがなかったらしく、女性の体に嫌悪感を抱き、二人に夜の関係がなかったことが理由であると言われています。著者はラスキンが大嫌いだと述べ、ラスキンに手厳しい記述になっています。たしかに女性から見れば最低男でしょうが、ラスキンはマザコンで、女性に対する免疫がなかったことは母親の影響が強かったと昔大学の先生から聞きました。ラスキンも言わば被害者であり、ラスキンを強く攻めるのは気の毒な気もします。

 

 画家オスカー・ココシュカも興味深い人です。彼はアルマという女性と結婚しますが、彼女の死後、彼女の人形を作らせ、外出する際も同伴していたとされます。いわばラヴ・ドールで、少し怖い気もしますが、彼の絵の魅力も含め、たいへん関心を惹かれます。

 

 他にルクレツィア・ボルジア、ヘンリー8世とアン・ブーリン、ロシア皇帝アンナ・イヴァノヴナ、ノーマン・メイラーとアデルらを取り上げています。

 

 ユーモアを交えた軽いタッチの本で、そこは好みが分かれるかもしれません。