深作欣二監督の『魔界転生』を観ました。1981年の角川映画です。原作は山田風太郎さんの時代小説で、「忍法帖」シリーズの代表作です。私も昔楽しんで読んだ記憶があります。山田風太郎には好きな作品がたくさんありますが、その中でも一、二を争うほど好きな作品です。

 

 島原の乱で死んだ天草四郎がよみがえり、細川ガラシア、宮本武蔵、柳生宗矩らを復活させ、徳川幕府への復讐を企てる。それを柳生十兵衛が阻止せんとする、という物語です。

 

 大筋は原作どおりですが、かなり改変されています。原作の天草四郎はそれほど大きな役割を果たしていなかったと思いますが、本作では沢田研二さんが演じていることもあってか、反乱の首謀者になっています。また、原作のラストは吉川英治さんの『宮本武蔵』のパロディになっていて、つまり武蔵との決闘に十兵衛が遅刻し、武蔵を倒すのですが、映画では武蔵vs十兵衛はクライマックスではありません。クライマックスは燃え盛る城の中での十兵衛vs宗矩の父子対決です。このシーンは映画ならではの迫力を楽しめます。

 

 原作では(おそらく)登場しないガラシアが出てきたり、霧丸なる(おそらく)オリジナル・キャラクターが登場したりします。女性がかなり登場するのは男性客を意識してのことと思いますが、意味なく女優が脱ぐことからも、このことは確かだろうと思います。妖刀・村雨をつくる刀匠が登場するのもオリジナルの設定で、丹波哲郎さんが演じています。

 

 十兵衛を演じるのは千葉真一さんで、これが実にかっこいいです。武蔵は緒形拳さんですが、メイクがきつくて言われないと緒方さんだとわからないほどです。柳生宗矩は若山富三郎さん。霧丸を演じるのは真田広之さんです。

 

 原作ファンには色々と不満もあるかもしれませんが、私は映画らしい要素が詰め込められていて、素直に楽しめました。