ウィリアム・シェイクスピアの『ヘンリー8世』を読みました。歴史劇です。どうやらシェイクスピア単独の作品ではなく、共作と考えられているそうです。1613年の作品と推定されていて、だとすればシェイクスピア晩年の作品ということになります。この劇の上演中の火事で、グローブ座が全焼してしまったそうです。

 

 テューダー王朝2代ヘンリー8世は暴君として知られ、自身の離婚問題という極めて私的な理由でローマ・カトリックから離脱して、イギリス国教会をつくった人です。結婚、離婚を繰り返しては、妻を死刑にしたりした人です。ただし、本作はヘンリー8世が主人公というわけでもなく、彼の影は薄くなっています。

 

 物語はヘンリー8世の宮廷で活躍した策謀家、ウルジー枢機卿を中心とした物語と言えます。そこにヘンリー8世の妻キャサリン、後に王の妻となるアン・ブリンらが関わってきます。最後はアン・ブリンが女の子(後のエリザベス1世)を出産するところで終わります。

 

 シェイクスピアが活躍したのはエリザベス女王の時代であったわけで、女王を賛美する目的で執筆された劇であろうと思います。

 

 『ヘンリー4世』、『ヘンリー5世』、『ヘンリー6世』らと比べると戦闘シーンもないため、地味な印象は拭えません。