アラン・J・パクラ監督の『ソフィーの選択』を観ました。主演のメリル・ストリープは本作でアカデミー主演女優賞を受賞しています。原作はウィリアム・スタイロンの小説ですが、未読です。

 

 ポーランド人のソフィーはアウシュビッツを生き延びた女性でネイサンという統合失調症の男と暮らしていた。同じマンションにスティンゴという作家志望の若者が引っ越してきて交流が始まる。物語はスティンゴの視線で語られます。

 

 ソフィーとネイサンの関係は奇妙なもので、機嫌が良かったかと思うといきなりキレる難しいネイサン役をケヴィン・クレインが好演しています。そして、ソフィーの秘められた過去が語られる、というストーリー。

 

 ナチスによるホロコースト映画は最近観た『縞模様のパジャマの少年』や『シンドラーのリスト』など、傑作が様々ありますが、本作もそれらの傑作に劣らない力作です。ホロコーストの映画であるため、悲惨な話であることは想像されますが、ソフィーが突き付けられた選択も過酷なものです。ただ、こうした過去があるがゆえに、ネイサンとの関係も説得力を持ち得ています。そして、メリル・ストリープの鬼気迫る演技も見どころです。

 

 『ダンサー・イン・ザ・ダーク』あたりと並んで鬱映画の代表のように語られる映画ですが、アウシュビッツでの経験を描く過去パートは案外短く、基本は1947年のアメリカを舞台とした恋愛映画と言えます。映像が美しく、アウシュビッツのパートとのコントラストが明確で、それだけに悲劇性を高めていると思います。