アンソニー・ハーヴェイ監督の『冬のライオン』(The Lion in Winter)を観ました。

 

 12世紀のイングランドが舞台の歴史劇です。アンジュー伯アンリがヘンリー2世としてイングランド王になり、これをもってプランタジネット朝が始まります。ヘンリー2世(ピーター・オトゥール)はフランスにも領地をもち、フランス王に対しては家臣という複雑な立場であり、現在のイギリスやフランスの概念とはだいぶ異なる時代の話です。ヘンリー2世の3人の息子、リチャード(獅子心王リチャード1世、アンソニー・ホプキンス)、ジェフリー(ジョン・キャッスル)、ジョン(欠地王ジョン、ナイジェル・デリー)の王位継承争いに、フランス王フィリップ(ティモシー・ダルトン)が絡んでくる話です。さらにはヘンリーの妻エレナー(キャサリン・ヘップバーン)も絡んできます。

 

 ある程度の知識はあって観たのですが、ここあたりの時代に詳しくないと最初少しわかりづらいかもしれません。イギリス人にとっては馴染みの歴史上の人物なのだろうと思います。

 

 劇中でも言及されるように、シェイクスピアの『リア王』みたいな話です。とはいえ、一番のポイントはヘンリーとエレナーの愛憎半ばする夫婦関係です。

 

 宮廷での陰謀劇であるため、激しい戦闘シーンなどは少なく、やや地味です。原作はジェイムズ・ゴールドマンによる戯曲だそうで、そのせいかシェイクスピア劇を観ているような感じが思案した。活劇劇ではありませんが、壮大な音楽とあいまって、重厚な歴史映画といった印象です。