みの著『にほんのうた 音楽と楽器と芸能にまつわる邦楽通史』を読みました。著者は「みのミュージック」というYoutubeチャンネルをやっている人で、私もよく視聴しています。自身でバンドもやっているギタリストでもあります。その著者の著書としては2冊目になると思います。

 

 日本の音楽の通史を扱った仕事が少ないということで、それにチャレンジした労作です。Youtubeでもそのための資料を集めているとか、あれを読んだ、調べた、と言っていたことがあったように記憶していますが、研究熱心な人のようです。

 

 縄文時代から始めていて、まさに通史です。ただ、もちろん音源はないし、楽譜も残っていない時代が長く、そもそも西洋音楽の五線紙とか音符の概念が入ってきたのは明治以降のことなので、江戸時代以前の日本の音楽について語ることは難しいようです。そのため、縄文時代から江戸時代までは序章で扱っていて、1章は明治時代になります。ただ、江戸以前にも雅楽とか歌舞伎や能の音楽とか、豊穣な音楽の歴史があり、それが現代の日本の音楽にも影響を及ぼしているようです。

 

 明治以降、西洋音楽は軍歌として導入されました。そこから自由民権運動から生まれた演歌、川上音二郎のオッペケペー節、学校で歌われた唱歌などが語られます。大正に入るとレコードが登場します。現代はサブスクの時代で、レコードも復活してきて、逆にCDは衰退してきているようですが、こうした音楽を届ける媒体―レコード、ラジオ、テレビ、CD、そして最新のボーカロイドまで、技術の進化についても論じています。戦争中は西洋音楽は敵性音楽として禁じられました。

 

 戦後は「リンゴの唄」、「東京ブギウギ」、「上を向いて歩こう」、笠置シズ子、美空ひばり、坂本九あたりから始まりますが、進駐軍の影響も大きかったようです。その後は私にも馴染みのある音楽の歴史になります。テレビ時代とアイドル・ソング、ロックの隆盛、学生運動時代とフォーク、ハードロック、ジャズ、ラップ、レゲエ、ダンスミュージック、シティ・ポップ、といった感じです。アーティストで言えば寺内タケシ、沢田研二、吉田拓郎、井上陽水、岡林信康、荒井由実、中島みゆき、キャロル、サザンオールスターズ、小室哲哉、X Japan、宇多田ヒカル、スチャダラパーなどが扱われています。