ヴァージニア・ウルフ原作、サリー・ポッター監督の『オルランド』を観ました。原作はずいぶん昔に読んだことがあります。

 

 エリザベス時代を生きる男性オルランド。ロシア女性との恋愛が描かれますが、ある時7日間の昏睡状態に陥る。意識を回復すると、オルランドは女になっていた。オルランドはその後ほとんど年もとらず、最後は20世紀まで描かれます。女になってからは男性と恋愛をし、出産もします。

 

 400年も生き続ける人間の物語で、かつ性別が変わる物語でもあり、原作のウルフが同性愛者であったことを想起せずにはいられません。ただ、同性愛を擁護する話であるとか、フェミニズムの話であるというわけではないようです。全裸の体を鏡に映し、自分が女になっていることに気づいたオルランドは、慌てるでもなく、平然と「性が変わっただけ」、と述べる。男としても女としても生きることを謳歌している感じで、結局本作のメッセージは、男だとか女だとか同性愛者だとかに関係なく、そうしたことに縛られることなく、自分らしく自由に生きることの素晴らしさを描いた作品であるように感じました。

 

 オルランドを演じるのはティルダ・スィントン。中性的な雰囲気をもった人で、オルランド役に適任であるように思います。エリザベス時代の豪華な衣装なども見どころの一つです。