『沈まぬ太陽』という映画を観ました。山崎豊子さんによる原作は未読です。

 

 3時間にもなる大作です。1985年に発生した日航機墜落事件に取材した作品で、国民航空という日本航空をモデルとした航空会社が舞台です。

 

 主人公の恩地は社員の待遇をめぐって経営陣と対峙する労働組合の委員長。親友の行天は副委員長。この二人が物語の中心です。恩地は報復人事で海外へと赴任させられる。日本にのこった行天は会社の中で出世の階段を上るために、汚いことも厭わないような人間になっていく。そして、500人以上の使者をだす飛行機事故が発生、というストーリーです。

 

 事故も描かれますが、物語の主眼はそこではなく、国のフラッグシップとしての航空会社の腐敗、政治との癒着など、日本社会の闇を描くことが目的の作品です。もちろんフィクションですが、似たようなことは日本の様々なところで起きていた(いる)ような気もして、そう考えると怖い気もします。

 

 家族を巻き込みながらも自分の信念を曲げない恩地にはモデルがいるようですが、渡辺謙さんが熱演しています。恩地の親友でありながら、やがて対立していく行天を演じるのは三浦友和さん。この二人の演技合戦も見ものです。そのほかにも石坂浩二さん、加藤憲さん、香川照之さん、松雪泰子さん、大杉連さん、西村雅彦さんら豪華キャストです。

 

 長さを感じさせない力作です。原作もぜひ読んでみたいと思いました。