事業承継税制とは、先代経営者が後継者に株式を移転(相続・贈与)した際に発生する税金の納付を猶予するという税制です。
この税制が、平成30年度税制改正で大幅な改正が行われました。
特に、注目すべき改正点は以下の点です。
この他、5年平均8割の雇用維持要件の実質撤廃や相続時精算課税の適用拡大など、
大きな負担となっていた納税猶予打ち切り後の税負担を軽減させる措置が講じられました。
上図は、中小企業庁のホームページから手続の流れを切り取ったものです。
(相続税の場合ですが、贈与税の場合も手続きの流れは同じです)
承継計画の作成を行い、これを都道府県庁に提出し、確認申請をします。
こちらは平成35年3月31日までの期間限定です。
尚、これはあくまで計画ですので、変更をする場合には、変更の確認申請を再度行います。
この申請の確認が取れたら、実際に株式の移転(相続・贈与)を行います。
その後、都道府県庁に認定申請を行います。
相続の場合には、相続の開始後8ヶ月以内・贈与の場合には、贈与の翌年1月15日までに認定申請を行わなければなりません。
認定申請を行って認定書の写しが届いたら、確定申告書と一緒に税務署へ申告を行います。
その際、担保提供が求められますが、基本的には納税猶予の対象となる株式を担保として提供します。
その申告期限から5年間の間は、毎年、都道府県庁に年次報告書を提出し、その後に税務署に継続届出書を提出します。
5年間経過後は3年に1回、税務署に継続届出書を提出し続けなければなりません。
従前まで使い勝手があまり良くなかったと言われていた事業承継税制が、
今回の改正でより中小企業の現状を反映させたものになったことは確かです。
ただし、この税制は期間限定となっており、承継計画は5年間、株の移転は10年間となっています。
その期間中に行わなかった場合には適用がされませんので、よく考えて行うべきだと思います。
担当:堺 友樹