「戦略的に縮む選択」
仕事は、朝注文をうけて、その日のお昼に事業所で調理した食事を会社などに届ける「配達飲食サービス業」です。積極的に事業を伸ばし、気が付けばABCDの4つの事業所を持つようになっていました。
各事業所はそれぞれ利益を出していますが、D事業所もそこそこ利益を出しているのですが、あえて閉める選択をしました。
原因はそのエリアのお客さんが少なく、注文数が不安定なこと。
相手先への距離が遠く何件も回れず、配達する人が余計に必要なこと。
社長には後継者がいないため、人の確保がだんだん難しくなってきたこともあり、事業規模の適正化については前から考えていたようです。
事業規模の縮小(適正化)です。
近くのC事業所と統合して、C事業所から配達できる良いお客さんだけを引き継ぐのです。
統合後考えられる影響
・調理・配達にかかる人件費の削減
・注文がなかった時に発生する材料のロス減少(粗利益率のアップ)
・D事業所分の家賃が減少
・会社のスリム化など
D事業所エリアの条件にあったお客さんを社長にヒアリングしてみますと、
売上は現在の1/5ぐらいになりそうです。それを基にシミュレーションしてみました。
売上高は粗利益は減りますが、経常利益は増えます。
粗利益率は62.3% ⇒ 63.0%
売上高経常利益率は2.7% ⇒ 3.9%
シミュレーションを踏まえ、社長は前向きに検討にするそうです。
ちなみにあと何年かでやめることも想定した上でのことです。
ドラッカーは「象も今以上に大きくなればその体重を支えるためにさらに大きくなった足を持ち上げられなくなる」と言っています。今が攻める時なのか、あと何年会社を続けていくのかなど社長の考えに基づいて、適正な規模を追求することも必要なんだと思います。
担当 土肥 宏行