若い頃、東京・丸の内にあるあるホテルのレストランでボーイとしてアルバイトをしていた事がある。
西洋料理の作法はそのホテルで教えられた。
高校生の頃、「西洋料理の食事作法」の本を買って読んだ事がある。
ホテルで学んだ事は、多分、本当の作法だと思う。
本に書いてある事とは全く違う内容であるが。
私なりに気がついた事は、日本で「西洋料理の食事の作法」と言われているものは、もともとは王様や貴族の食事の作法であるという事。
召使いや一般庶民の食事の作法ではないということである。
彼らは殆ど手づかみで食べていたし、、、、、、行儀作法など全く別の世界であった。
王様や貴族といえども、当時の西欧社会はかなり無教養で無頼の世界であったらしい。
所謂ジンギスカン形式で食事をとる場合が多かったらしいが、ナイフを常に持ち歩いていて、そのナイフで大皿の食べ物を串刺しにして食べていたらしい。
その時、自分が取ろうとした肉の塊を別の貴族に先にとられたという事で、その場でナイフでの殺し合いが始まる事など、日常茶飯事であったらしい。
フランスなどの歴史学者の著作にもその手の話は頻繁に出てくるようである。
召使いの所作が気に入らなければ、それこそ刺し殺されたり、地下で身体障害者になるほど打ちのめされて城の外に放り出されるなど、当たり前に起こっていたらしい。
そのような状況の中で生まれた「エチケット」あるいは「食事のマナー」は、召使いにとっては「主人に恥をかかさない」ルールでなければ成り立たない。
(小難しい、ややこしいルールや作法を決めようものなら、命に関わる)
スプーンやフォークの並べ方、皿の出し方、、、、、全て、「何も考えないで」、「何も思い出さないで」目の前にあるものを感覚に従って使って食べるのが「正しい食事の作法」となった事は想像に難くない。
また、「ボーイ」としてお客に給仕する場合もこれに似て、お客が「何も考える余地がない、目の前にある通りに食べればよい」ようにお膳立てをそろえる事が求められた。
さらに、常にお客の行動を見ていて、少しでもそそうをしたりすると、誰にも気づかれないように即座にリカバリーをする事を求められた。
欧州でも西側と中央ではナイフとフォークの持ち方が左右逆である事は、よく言われる。
私が勝手に想像するに、単純にそこの王様が左利きか右利きかの違いによるのであろうと。
翻って、かの「西洋のエチケット」の本を思い出す。
その本の前書きは、著者は「欧米に滞在、欧米の上流階級と一緒に生活した経験が長く」、「欧米の上流階級に友人知己が多く」、「イギリス・エリザベス女王の晩餐会などには常連として招待される事が多く」、、、、、。
十数年前に、まさにその本の内容に関して、ある民放でわざわざヨーロッパに取材旅行に出かけて、上流階級やら、一般庶民やら、レストランうやらへ出かけて確認する、検証レポートを放送した番組を見た事がある。
結論は、書いてあるような食事の作法など存在しないし、誰ももそんな食べ方はしない。
誰からも、「そんな食べ方をしたら、食べにくくってしょうがないでしょう」という反応であった。
著者の名前を出してみたが、上流階級のだれ一人、名前を知っている人はいなかった。
勿論、エリザベス女王の晩餐会にそのような日本人が招待されていたという事実は無い。
そこで、日本に帰ってその著者に直接確認インタビューをしていた。
分った事は「一度も欧米へは行った事がない」、「上流階級と付き合いがあるどころか、手紙のやりとりさえした事がない」し、当然「友人知人は一人もいない」し、「西洋の食事マナーについて欧州で発行されている本を読んだ事も、勉強した事もなく」、単純に「自分の空想だけで書いたもの」というものであった。
「あなたは外国には一度も言った事がないのですか?」 というレポーターの質問に対して「いや、沖縄には一度だけ旅行した事がある」とのこと。
番組に出演していたレポーター、芸能人やらが全員、大笑いしていた。
彼はある有名で繁盛している、行儀作法を教える各種学校の創始者、校長であるというその時の番組報告であった。
フォークをひっくり返して山の方に飯を載せて食べる日本人の姿を時々レスっトランで見るが、思い出す。
スパゲッティーをフォークの先にクルクル巻き付けて食べる人も同様である。
(但し、これは便利なので私は愛用しているが)
スープのカップを廻してから飲む人も同様である。
召使いが自分の無頼漢の王様にそのような事を要求したら、ナイフで刺し殺されてしまう。
そういえば、これは全く別のマナー本であるが、スープのスプーンでのよそい方として、西洋では手前から向こう側へ、中国では向こう側から手前の方へ、と書いているものがあった。
そういえば、古い4コマ漫画で、欧米と日本は全て逆である。従って日本では風呂に足からはいるが、欧米では頭から突っ込む、というのが流行っていた時期がある。
食事のマナーっておもしろいな!
マナー本を読むときは、よくよく、自分自身が「常識」を持っていないといけない。
( http://hankatuu.blogspot.com
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