運動能力とは筋力の大きさにあらず・・・ | 読めば面白くなるからだの仕組み ~かっちのフィットネスブログ~

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昨日のフィギアスケートGPファイナルSPでのこと

日本人のM選手は4回転ジャンプを大いに期待されていましたが、結果は失敗。
戦前メディアは彼の筋肉(広背筋、腹筋、大腿四頭筋)のすごさを強調し、M選手自身も自慢の筋肉が持ち味の演技をすると述べていました。

彼の4回転ジャンプは回転半径が他の人に比べて大きい、つまり一度のジャンプで4回まわるには回転する円が大きかったのです。

原因は彼の発達した筋肉によるところが大きいのではと思います。M選手の広背筋(脇の下の逆三角形になる筋肉)は非常に大きく発達しています。彼は回転の最中、他の選手に比べて肘をたたんではいましたが、脇を締める行為が不足していました。 

つまりジャンプし回転する祭にできる円が他の人に比べて大きいため4回転が周りにくかったと考えられます。

さらにジャンプ直後に上半身が主導で先にまわってしまい下半身がそれに付いていくという状態になりジャンプの軸がずれてしまっていました。

例えるなら半分が折れた竹串の根っこを掌でまわしている状態です。
根っこを回していますが、折れた部分から先が後から付いてまわる状態、しかも折れた角度によってまわり方が斜め、いびつに回ってしまう状態でした。

回転する軸を真っ直ぐにして跳ぶべきジャンプではこの折れた竹串状態で回転することは致命的な原因となってしまいます

さらにジャンプ直後、進行方向に対して斜めに傾いてしまいました。
これは滑ってきた前方への勢い(エネルギー)をすべて縦方向に変えてジャンプをするべきところを、まだ前方への勢いが残っていたために起こる現象で、特に後ろから踏み切り後ろから着氷するサルコウジャンプでは転倒の原因となる要素です。

ちなみに同じ斜めに傾くにしても進行方向と逆に傾く場合は着氷時の転倒が防止可能です。

M選手はアスリートとしてはすばらしいしっかりとした筋肉を持っています。そしてそれを使える能力ももちろんあるでしょう。

しかしフィギアスケーターとして4回転を跳ぶためには筋肉を最大限生かしたとしても成功しえない場合があるのです。

4回転ジャンプの成否は、いってみればジャンプの間にどれだけうまく、スムースに、そして効率よく回れるかです。

回転する半径を極力小さくし(小さい円にする; 大きい円ではまわりきれない)、上半身と下半身がほぼ同時にまわる(竹串が折れた状態では効率の悪いまわり方)、そして仮に斜めに回るとしても進行方向とは逆の後方に斜めになりながら回ることが必要だったのだと思います。

さらに言えば、『筋肉のパラドクス』というのを無視してまで大きくすることは大いに疑問符のつくところです

筋肉は大きくすればするほど重くなるのです。重くなった筋肉を支えたり思い通りに動かすためにはさらにさらに大きな筋肉が必要になります。 これを『筋肉のパラドクス』といいます。

人にはその人に合った筋肉(量)というものがあります。また競技特性を考えた場合にその競技に合う筋肉の量や質があるのです。

ジャンプ、つまり地面からいかに高く、そして美しく、うまく跳ぶかを競う場合はその特性にあった筋肉が必要となります。

とはいえ、M選手は男子フィギア界でも数少ない4回転ジャンプパフォーマンスを発揮できるスケーターです。今ある筋肉を維持しながらジャンプの中身について再考してみるとまた違った視点が見えてくるかもしれません。

素晴らしい力を発揮できる筋肉を持っているのですから、その使い方をもう一度考えてみることがもう1ランクアップしたスケーターになるための条件ではないでしょうか。。。