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安藤裕子/Cutting Edge

 インタビュー集「音楽とことば〜あの人はどうやって歌詞を書いているのか〜」によると、遠藤周作の小説『女の一生〜キクの場合〜』への感情移入から思い巡らせた心象が『六月十三日、強い雨。』である。江戸時代の長崎、隠れ切支丹弾圧の中、マリア信仰の村の男を片思いから愛し尽くした少女キクの生涯。活気のある長崎の描写を塗り潰す様に、キリスト教禁止政策の不穏な影。好きになった男が役人に捕まり、それまでの生活も何もかも失ってゆく。その嵐の日が6月13日である。本人の楽曲解説「長崎の町が私にくれた経験と感情と…」には、浦上教会に原爆が投下されるその時刻へ月日が進んでゆく続編『女の一生〜サチ子の場合〜』への含みがある。