雨に煙る明石海峡大橋の写真です。明石に滞在したのはほんの2時間ほどで、今は自宅に戻る途中でホッと一息つきながらこの記事を書いています。
さて、今日は最近のAI(人工知能)について、実際に使ってみて分かった少し面白い発見をシェアさせてください。
先日、私がいつも乗っている車から、聞き慣れない「異音」がし始めたんです。気になって、最近よく使っているAIの「Gemini」に文字で症状を入力して相談してみました。
すると、「恐らくハブベアリングの不具合の可能性が高いですね」と、あっという間に原因を推測してくれました。
なぜ、AIは文字のやり取りだけで的確に原因を当てられたのでしょうか?
実はAIは、インターネット上にある膨大なテキストデータ――例えば、全国のプロの整備士さんが書いたブログや、車のトラブルに関するQ&Aサイトのやり取り、過去の修理記録など――を大量に学習しています。
「こんな状況で、こんな音が鳴る」という無数のデータの中から、私の入力した症状と最も一致するパターンを瞬時に探し出して、答えを導き出してくれたわけです。
これには「さすがAI、賢い!」と感心したのですが、ここでふと好奇心が湧きました。
「ネットの情報を元に文字だけでここまで的確に分かるなら、実際に車が発している『異音』そのものをスマホで聞かせたら、もっと確実な診断をしてくれるのでは?」
早速、車の異音を録音して直接Geminiに聞かせてみたところ……結果はまさかの「分かりません」でした。
あんなに賢いAIが、なぜ実際の音を聞くと分からなくなってしまうのか。ここに、今のAIができることと、できないことの明確な「境界線」がありました。
実はGeminiのような最新のAIは、人間の声を聞き分けて、それを一言一句正確に文字起こしすることなどは非常に得意です。会議の音声をテキストにまとめたり、日常の会話を翻訳したりするのは朝飯前です。また、犬の鳴き声や救急車のサイレンなど、私たちの生活にあふれている「一般的な音」も学習しているため、しっかりと聞き分けることができます。
しかし、「特定の機械のパーツが摩耗して発する特殊な異音」のようなニッチな音声データは、AIの学習材料として十分に組み込まれていないようなのです。「文字による整備記録」はネット上にたくさんあっても、「故障時の生の音声データ」はあまり出回っていない、というのも理由かもしれませんね。
AIが一体何をどこまで学習しているのかという中身は、実はあまり公開されていません。そのため、私たち人間は「人間の言葉をこれだけ完璧に理解して文字起こしできるのだから、機械の音だって当然分かるだろう」と、AIをなんでも解決してくれる魔法の箱のように誤解してしまいがちです。
AIはあくまで「事前に学習したデータの範囲内」でしか物事を判断できません。ビジネスの議事録作成や、日々の調べものといった分野では間違いなく優秀なアシスタントですが、イレギュラーな機械のトラブルや、まだ学習されていない特殊な事象については、まだまだお手上げなのが実情です。
……さて、この話には続き(落ち)があります。
結局、自分やAIの耳では限界があるので、車をプロの整備工場に持ち込みました。
見てもらった結果……なんと、Geminiが文字情報から推測した通り、確かに「ハブベアリング」が悪くなっていたんです!(テキスト診断の精度、恐るべしですね)
ただ、異音の直接的な原因がそれだけだったのかは定かではないものの、プロの目で見てもらうと、ハブベアリング以外にもあちこちのパーツがかなり劣化していることが発覚。
結果的に、ごっそりと部品を交換する「大幅な修理」になってしまいました……。
AIのテキスト診断の鋭さに驚きつつも、最終的に車全体の異常を見抜き、直してくれるのはやっぱり人間のプロなんだなと痛感した出来事でした。皆様も、車や家電からいつもと違う音がしたら、早めにプロに見てもらってくださいね。
最後に、今回の出来事を通して少しだけ「未来のAI」について思ったことを。
今のAIはネット上の「文字」から学ぶことは大の得意ですが、学習データ不足ゆえに特殊な異常音を聞き分けることはできませんでした。でも、もし将来AIが「金属が摩耗して軸がブレるときの音の波形」のような、音の根本的な物理法則を断片的にでも理解するようなブレイクスルーが起きれば、私たちが普段使っているAIも、もっと幅広い分野で応用・実用化されていくのかもしれません。
あるいは、私たちが使っているなんでも知っているAIとは全く別のアプローチで、車の音や振動のデータだけを徹底的に学んだ「自動車整備に特化した専用AI」のようなものが誕生する可能性もありますよね。
数年後には、スマホを車にかざすだけで「あ、この音は〇〇のパーツが劣化していますね」とズバリ当ててくれる時代が来るのかも……。
修理から戻ってきてすっかり調子を取り戻した車を運転しながら、そんな少し先の未来にワクワクしてしまいました。