ブリハスパティの呪いとブダ(水星) | すまブロ

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May the whole world be happy,
May we see all that is auspicious,
May nobody suffer.

Samastha Loka Sukhino Bhavantu

私が住んでいる地域では、昨日から今朝にかけてクリシュナパクシャのトラヨダシ・ティティ、

ナクシャトラは木星が支配するプシュヤでした。

 

今現在、ティティはクリシュナ・チャトルダシに変わり

ナクシャトラは水星が支配するアシュレーシャーで水星Hora、

今日は水曜日です。

 

前に『月面着陸50周年』の記事で

月神チャンドラが木星ブリハスパティの妻ターラーを奪い、子ども(水星ブダ)をもうけた話をしましたが

この話には続きがあります。

 

聖典によれば、チャンドラとターラーがお互いに惹かれあい恋に落ちたのが 

クリシュナパクシャのトラヨダシ・ティティの日。

 

 

ティティは月の満ち欠けの位相を指し

クリシュナパクシャのトラヨダシは、新月に向かって欠けていく月の13日目にあたります。

 

トラヨダシの支配神はサルヴァマンガラ女神(別称として月の魂を意味するChandratmika)と

木星、それに愛の神カーマデーヴァです。

 

神聖な認知力の象徴であるブリハスパティ(木星)の妻が、

チャンドラ(月、マインド)に惹かれ 子どもブダ(水星)をもうけるに至った。

 

妻のターラーがチャンドラの子を身ごもっていることを知り、怒れるブリハスパティは

子どもが男性でも女性でもない 中性に生まれるように呪いをかけました。

 

そうして生まれたのがブダ(水星)です(ブダはのちに両性具有のIlaと結婚)。

 

しかしブリハスパティは ブダが生まれた後に自分の衝動的な行いを反省し

ブダを自分の子として受け入れました。

 

マインドの子どもである知性(水星)を、神聖な認知力(木星)が受け入れたというお話。

 

ラーマーヤナやマハーバーラタなどの聖典は、解説者によって異なる視点で語られるので

さまざまな人のバージョンを読むのも楽しいですね。

 

イーシャのサッドグルによるマハーバーラタも、独自の見解で語られる解説が面白いと思います。

 

 

サッドグルが語るマハーバーラタのエピソード1から

 

インドラの祭司長 ブリハスパティ

 

何千年も前に、ブリハスパティという名の祭祀のマスターであり学者がいました。

必然的に、神々の王インドラは彼を正式な祭司として雇いました。

ときはドワパラユガで、祭礼が人々の生活の最も大切な要素であったため、祭司は非常に重要でした。

彼らは自身の生活や周囲の状況、他者の生活に影響を及ぼす物質と用い方を学びました。

この儀式的な文化の名残が、今でもインド南部で生きています。

ケララは、おそらく他のどの地域よりも多くの祭礼をより高い純度で保持しました。

 

ブリハスパティと妻のターラー

 

ブリハスパティには、ターラーという名の妻がいました。

ブリハスパティは木星を表します。

ターラーは、『星』という意味です。

古代インドでは、祭礼における女性の地位は、男性と同じように重要でした。

男性は妻なしには祭礼を行うことができないという合意が、外側の物理的条件が厳しいものであっても女性に平等な地位を確保していました。

男性は、妻なしには恩恵を受けることができなかった。

男性は、妻なしには天国に行けなかった。

男性は、妻なしにはムクティ(解脱)を得ることができなかったのです。

 

あらゆる祭礼は、社会がいかなる点においても女性を無視することができないように定められていました。

今日では、女性は少しばかりの自由はあるが、残念なことにこの自由によって、彼女たちは以前所有していた多くの特権を失っています。

今日、女性には合理的な平等の権利がある―私は『合理的な』と言いましたが、それはおそらく法律では平等でも、実質的には『まあまあ』にすぎないからです。

平等の権利へのシフトは、もっぱら現代科学が、いわば土地を均すことによって起きたものであり、人類の真の変容によるものではない。

ブリハスパティの時代には、女性は男性の人生の非常に重要な要素だったため、社会の規範あるいは『ダルマ』と呼ばれるものが、女性が利用されたり虐げられたり、軽視されることがないことを保証していました。

肉体的な強さと筋肉の点では男性は女性を消滅させたかもしれないが、男性は女性が隣にいない限り、霊的な次元の生活は不可能でした。

そのため、男性は女性を尊重しなければなりませんでした。

 

ターラーが月神と恋に落ちる

 

ブリハスパティは神々の王ではありましたが、何をするにしてもターラーが必要でした。

彼は、ただ職を失いたくないがために彼女を手放さずにいたのです。

彼自身はそこらじゅうで女遊びをしていました。

ある日それを目撃したターラーは、満月を見上げました。

そして月神チャンドラと恋に落ちたのです。

チャンドラが地上に降り立ち、大ロマンスに夢中になって、しばらく後に彼女は彼と駆け落ちしました。

ブリハスパティは妻を失っただけでなく職も名声も社会的地位も失い、もう神々の世界(デーヴァローカ)に入ることができなくなってしまうので、激怒しました。

彼はインドラを呼んで、言いました。

「妻を取り戻したい。あなたが彼女を連れ戻さねばなりません。さもなくば、私はあなたの祭礼を行いません」

そこでインドラは仲裁にはいり、無理やりターラーが戻るようにさせました。

これは、誰かが特定の家族構成を守るように強制された初めてのケースでした。

インドラが「戻らねばならぬ」と言うと、ターラーは「いいえ、私の愛はそこにあります」と答えました。

彼は「感情は関係ない。あなたのダルマはブリハスパティとともにいることだ。あなたが彼に付き添わない限り、私の祭礼がうまくいかないのだから」と言いました。

そして彼女は連れ戻されました。

 

ターラーとチャンドラの子ども

 

ターラーは妊娠していました。

ブリハスパティは誰の子どもかを知りたがりましたが、ターラーは話したがりません。

人々が集まりましたが、ターラーはそれでも話すのを拒みました。

すると、おなかのなかから、まだ生まれていない子どもが尋ねました。

「わたしは本当は誰の子どもなの?」

まだおなかのなかにいるのに、誰の種からできているのかを知りたがるその子の知性を称賛し、人々は言いました。

「夫や神々には言うのを拒んでも、生まれていない子どもに言うのを拒むことはできないだろう」

ターラーは言いました。

「チャンドラの子です」

ブリハスパティは、妻が他の男の子どもを宿していることに激高しました。

「男性でも女性でもない、中性になるように」と言って、その子に呪いをかけたのです。

その子が誕生し、水星にちなんでブダと名づけられました。

成長するにつれて、彼は母親に嘆きました。

「私はどうすればいいのでしょう?

男性として生きるべきか、女性として生きるべきか?

私のダルマはなんだろう?

苦行者になるべきか、結婚するべきか?

男性と結婚すべきか女性と結婚すべきか?」

 

ターラーは言いました。

「存在には、無数の星ぼしやあらゆる種類の物事、男性でも女性でもなく神々でも悪魔でもない、さまざまな生物のための場所があります

存在にはそうしたすべてのもののための場所があるのですから、心配はいりません

あなたにも、場所があります

あなたにも、生き方があります

ただ存在していなさい

人生が起きてくるでしょう」

  

サッドグルが語るマハーバーラタ・エピソード