小林千登勢さんってご存知ですか?

「お星さまのレール」 小林さんが、ご自身の体験を書かれた本です。


「ある夜の出来事」
戦争が終わった後もわたしたち一家は平壌に残っていました。
ある晩の事です。
玄関の戸をはげしく叩く音がしました。
父が出てみると、進駐してきたソ連兵2人を後ろに従えて、 朝鮮人が立っていました。
「この家には女の子がいるはずた、連れてこい」
朝鮮人はいきなり怒鳴りつけました。

「うちには女の子はいません」
父は嘘をつきましたが、とっくに調べはついていました。
「差し出さないのなら家族全員の安全はないぞ」
「ゆるしてください、あの子はまだ子供です」
父の哀願も朝鮮人には全く通じませんでした。
「日本人も戦争中我々の子供達を犯し尽くしたのだ。 戦争に負けた今、お前たちが同じ思いをするのだ!」

父はうなだれて、朝鮮人を家に入れると、
わたしを奥の部屋に連れて行って、こういいました。
「これからあの人とお布団に入って寝るんだよ」
「なんで?知らないおじさんと寝るの?」
私は嫌で仕方ありませんでしたが、父のつらそうな顔を見て、 嫌とは言えませんでした。
「痛い事をされてもじっと我慢するんだよ、すぐにおわるから」
私は意味が分かりませんでした。
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