パイロットの制作チーム | ハリウッド映画音楽業界の歩き方

パイロットの制作チーム

パイロットの制作毎年10月ぐらいから本格的に始まります。

90年代ぐらいまではパイロット制作は業界で共通の制作スケジュールがあったのですが、最近はバラバラです。今年のパイロットを例に出すと、WBTV(Warner Bros Television)で制作され、TNT(Turnerのケーブル局)でピックアップが決まっている「Delta Blues」は11月には撮影終了し、私たちのクライアントStephen James Taylorも作曲、録音を同月末には終え、新年を迎える前に最終音源を提出していました。一方、2月中盤の今日現在、まだディレクターが決まっていないパイロットもあります。

パイロット制作にあたり、最初の重要登場人物はネットワーク(テレビ局)、ディレクター、プロデューサー、脚本家、制作会社です。僕の専門は音楽なので制作プロセスの詳細説明は割愛しますが、一般的にスタジオが集められたアイディアを元に、プロデューサーやディレクターを割り当てていきます。

大手ネットワーク(ABC, NBC, CBS, Fox)は制作会社を持っています。例えばFoxはThe Fox Television Studiosがあり、ABCはABC Productions(旧Circle Films)とABC Studios(旧Touchstone Television)を持っています。更に豪腕プロデューサーやディレクターを何人か確保していることが多く、まずは彼等がパイロット候補人材となります。

パイロットの制作本数は各局15本を軽く上回るので、必ずしも同じ系列の制作会社を使うというわけではありません。現在Foxで毎週水曜日8時から放送中のスパイアクションドラマ「Human Target」が良い例で、パイロット版から連載中の現在までWBTVが制作しています。音楽を担当しているのは「宇宙空母ギャラクティカ」「サラコナー・クロニクルズ」「ダークボイド」の作曲家Bear McCrearyです。

このようにネットワークが主権を取って、制作チームを作っていきます。その後、キャスティング、撮影、編集などを経て、最後の段階で作曲家探しが始まります。そして毎年5月にニューヨークで行われるスポンサー向けのプレゼンテーションに向け、4月に完成したパイロット版が各局から出揃います。